初めて歌舞伎に触れました。しえるです。
これまでの人生で唯一、設定資料集からサントラまで一式全部買ったほど惚れて夢中になったゲームが『FINAL FANTASY X(ファイナルファンタジー10)』でした。
そんなFFXが今春に歌舞伎(かぶき)となって上演されていたのは当然チェックしていたのですが、諸々(もろもろ)の理由が重なって劇場まで観に行くのは断念していました。
今回はオンライン配信で『新作歌舞伎 FINAL FANTASY X』前編を見たので感想などを書いていければと思います。
ある程度内容にも触れているので、配信期間は今月末までですがネタバレを回避している方はご注意ください。
【和楽器最高】気になっていたFFX歌舞伎のオンライン配信が今月末までなので視聴してきました【感想】
ずっと気になっていましたFFX歌舞伎
元々一生に一度くらい歌舞伎を見てみたいという気持ちは常々持っていたものの、ティアが特別高いわけではなく、これを見たいというものもずっとなかった中で登場したFFX歌舞伎。
おぉ!と気になったのも束(つか)の間、チケットの最低価格が前編or後編片方のみで11,000円、全編なら19,800円と「庶民の娯楽じゃなかったのか?歌舞伎は」というお値段にひとまず1ビビり。
音楽ライブだったらライブでしか得られない栄養を知っているので迷わないお値段ですが、財布のひもを固くしている時期に自分がどう感じるのか未知数な世界だと躊躇(ちゅうちょ)してしまいます。
それでも当時のTwitterに流れてきたユウナの異界送りの映像を見ると、出来が素晴らしくてやっぱり行きたいなぁという気持ちに。
しかし1か月弱という短い上演期間で、ただただ単純にスケジュールがきつく、配信もあるなら無理してねじ込まなくていいかという判断に、当時の私は至りました。
今回は配信で前編を見たのですが、ネタバレを見ずに新鮮な驚きを得たいという気持ちは常にあるものの、後から見どころダイジェスト動画を見て、こういう身近でない知らないことだらけの文化の場合は、時にどんな見せ場があるのかを事前チェックしてもいいのかもしれないと思い直しました。苦笑
前後編合わせると6時間くらいあるので、今回はとりあえず雰囲気をつかめればいいかと、自分の見たいシーンがどちらに多いだろうかと記憶から推測して前半だけにしたのですが、後編は召喚獣バトルなどでこれぞ歌舞伎な毛振り(頭をぐるぐる回して長い髪を振り回すやつ)もあってマジかってなりましたw
FFX歌舞伎前編をオンライン配信で見た感想
和楽器アレンジのBGMがいい!
まず感激したのが、和楽器アレンジされたBGM。
「ザナルカンドにて」や「プレリュード」などのなじみの曲が、尺八や箏(こと)、胡弓に和太鼓などの和楽器が使われた演奏になっていて、「最後かもしれないだろ?だから全部話しておきたいんだ」の時点で鳥肌が立ち、FFコンサートも含めて今まで聴いたことのない雰囲気にテンションがものすごく上がりました。
元々アジアンテイストなゲームだからそりゃ合うだろうなぁとはすぐに思ったんですけど、雰囲気の異なる「Otherworld」や「シーモアバトル」のような激しめな曲まで見事にアレンジされていて、おぉー!!と感心してしまいました。
【ゲーム音楽の巨匠・植松伸夫登場!】「FFXの世界観と和楽器の相性がいい!?」#尾上菊之助 #新内多賀太夫 - YouTube
作曲者の植松伸夫さんと編曲者の新内多賀太夫(しんないたがたゆう)さんが、どちらもすんなり和楽器で表現できそうと話してたのも納得の出来ばえですね。
ただ、曲の切り方が自分の感覚にはない独特さを感じて、フィギュアスケートの演技のどこが曲と合っているのかがよくわからないのと同じくらいのわからなさが、たまにありました。
この和楽器アレンジのBGMだけで全部聴きたいなと思ったのですが、どうやらアルバムはなさそうで残念です。
「祈りの歌」にまつわる小噺
ここで作中に出てくる「祈りの歌」の豆知識を1つ。
いえ ゆい
のぼ めの
れん みり
よじゅよご
はさ
てか
なえ
くた
ま
え
「祈りの歌」の歌詞は一見意味がなく聞こえますが、このように並べて縦に読むと、「祈れよ、エボン=ジュ。夢見よ、祈り子。果てなく栄えたまえ」という文章になっています。
FFXのは人生で1番聴いたゲームのサントラだと思うし、ゲームが発売されて20年以上経った今もソラで書けるくらい、この歌詞はずっと覚えていますね。
超特急のダイジェストながらもスピラの世界観の表現が素晴らしい
続いてリアル観客の間をブリッツボールの観客役たちが通って来るのにもまたワクワクが止まらず、諸々の理由で余裕がなく断念したけど、これはこの場で味わいたかったなぁ…と早速思ってしまいました。
ファンに対応するティーダのセリフのそのままさがエモく、シンのコケラなどのモンスターまで役者さんが演じているのにも驚き、背景のCGや舞台道具とあわせて世界観が上手く表現されていて、それはそれは見事なものでした。
東京ドームみたいにめちゃくちゃ大きいビジョンだなぁ、どうなっているんだろう?と思ったら、この歌舞伎が行われたのがIHIステージアラウンド東京という場所で、360度ぐるりとステージが客席を囲み、公演に即して客席がじわじわと動くことで、自分たちが動いてることに気づかず舞台が展開しているように見える仕組みになっていたのだそうです。
ステージアラウンドとは|TBSテレビ:IHI STAGE AROUND TOKYO
こういう施設で行われていたことも知らなければ、この施設の閉館が決まっているというのも全然知らなくて、まぁそれだけ調べる余裕もなかったくらいだから仕方なかったことなんですけど、せっかく興味があるもので味わうチャンスがあったのにスルーしてしまったのかと思うと残念でした。
そして、チケットのお値段にも今更ながら納得です。
『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』扮装ビジュアル公開!お弁当付き・インバウンドチケットの販売も│エンタステージ
長いストーリーをグッと圧縮してダイジェストになっているので、劇場版ガンダムくらいには超特急で話が進み、たまに唐突な部分もありました。FFXを知らないと、ゲーム以上に後からつながる場面やわかりづらい場面はありそうです。
スフィアという映像記録装置など小物の差し込み方が上手かったですね。
個人的にはザナルカンドとルカの新旧ブリッツボール(水中競技)の対比が気になっていたところだったので、片方まるまるないのマジか…となってしまいました。
あとは、討伐隊のルッツとガッタがビサイド・オーラカの一員になっていて「あれ?そうだったっけ?」とか、ブリッツボールって6人1組なのにルカ・ゴワーズ5人なの?とか違和感を覚えて戸惑う点も。
競技中だけならキーパーが見えないって受け取ればいいのでしょうが、それでも5人対6人なのは気になっちゃいました。笑
それでもブリッツボールは台車を使っているのかちゃんと泳いでいたり、歌舞伎らしく黒子(くろご)を伴ってのボールの動きや迫力のある実況などもあって、見どころの多いシーンとなっていました。
特に実況は、スト6自動実況システムのアールさんのような雰囲気で、ニヤニヤしてしまいましたw
【自動実況】アールさんの応援モードが神システムでした - YouTube
ゲーム内の幻想的な美しいムービーや歌舞伎のプロモ映像で見ていたユウナの異界送りのシーンは、期待値が上がりすぎてしまったためか、逆にちょっと物足りなさを感じてしまって残念でした。
踊り自体は素晴らしいんですけど、もっと幻光虫や水の動きが見えたらよかったのになぁと思ってしまいました。
前編最大の見せ場は終盤の戦闘シーンだと思うのですが、その殺陣(たて)がまた面白くて、この曲がここで流れるの?もありつつ、前編で聴けると思ってなかったBGMもたくさん聴けてうれしかったです。
ワッカはもはやボールが戦っていて意味わからなかったし、やられ方もワッカすぎて笑ってしまったし、アーロンの猫パンチやリュックのポーションなど自分には想像できない展開が面白すぎて、ずっとニヤニヤしていましたw
初心者にやさしい現代版歌舞伎と新たなキャラの魅力
冒頭ではオオアカ屋が「見得(みえ)を切るとは」「附け打ち(つけうち)とは」と歌舞伎のいろはを教えてくれて、歌舞伎を見たことがない人を前提とした親切設計になっているんだなと感じました。
これまで中村獅童さんや尾上松也さんなど俳優としての姿は見たことがあっても、本業の姿をちゃんと見たことはなかったので、本業なのに新鮮という変な感覚を覚えました。歌舞伎なアーロンさんがかっけぇし、ちゃんと歌舞伎ながらもシーモアみがすごい。笑
基本的に主要キャラはゲームのままの口調になっていて、特にヒロインのユウナが想像以上にユウナで、出演は男性のみという歌舞伎の、自分の中にあった女形のイメージとは全然違ってビックリしました。
あまりにそのまますぎて、実写だとこそばゆくなってしまうシーンなんかもw
ちなみに写真だけ見ているとティーダ…?となっていた主人公も、観ているとちゃんとティーダでした。個人的にはアーロンのにおいを嗅ぐ仕草のところが好きです。笑
今、これを書きながらも流しているのですが、流し見だと余計にティーダやルールーがそこにいましたw
歌舞伎らしく、主要キャラが登場するたびに見得を切るのですが、そのために流れが変えられていたりとか、無口のキマリがめっちゃ喋るやんwとか歌舞伎のための変化もあって面白かったです。
街の人などは結構普通の江戸っ子だったり、母だけ「お願い申し上げます」「なりませぬ!」と本来の歌舞伎なのであろう言い方になるのもまた面白かったですw
個人的にはワッカがすごくツボで、ルールーにひと噛み入れるところとかブリッツボールの試合前に緊張している姿とか、トロフィーをもらってのやりとりなどが愛らしく、特に「ござそうろうか?」と2度尋ねるところが好きでしたw
ゲーム内だとコイツ…!!と思う場面も多々あったと思うのですが(2周目は全然進んでいません…)、この中村橋之助さんが演じるワッカは愛すべきキャラすぎました。笑
あともう1つ触れずにいられないのが衣裳(いしょう)。
ゲームの衣装の面影(おもかげ)を残しつつ、歌舞伎風の和装にアレンジされていて、原作との違いを比較してどう衣裳に反映させたのかに気づくのが楽しかったですね。
また、FFXの舞台となるスピラにはいろんな種族が出てくるのですが、特にグアド族は再現度が高く、父のジスカルや侍従のトワメルなどキャラの歌舞伎との親和性の高さ?も相まって、迫力がすごかったです。
友人と一緒に見ようとしていたのもあって前編だけにしましたが、結婚式以降が後編のようで、後編も見ようか迷いが生まれている自分がいますw
こうなってくると、頓挫していたFFXの2周目も再開したくなってきますね。
ブリッツボールでルカ・ゴワーズに勝ちたすぎるのに、操作がわからなくなりすぎていて、つい億劫になって後回しにしてしまっていましたが、ぼちぼち頑張っていきたいです。笑
Fire TVで見たかった私の視聴方法についての話
配信視聴は、購入から10日間、何度でも視聴できるチケットを買う形になります。
前編のみ・後編のみのチケットが各2,420円、前編・後編のセットで買ったほうが少しお得で4,400円でした。
私は単純に映像が見られればよかったので前編のみチケットを購入しましたが、他に電子プログラム付きや4K5.1chサラウンドのチケットもありました。
配信プラットフォームは複数あって、以下のとおり。
- TBSチケット
- ローチケLIVE STREAMING
- Rakuten TV
- U-NEXT
- e-plus
- Streamig+
どれで見るのがいいんだろう…と迷ってしまいましたが、今回の判断基準はうちの中で1番大きいモニタであるテレビで見るため、「Fire TV Stickで見られること」を条件として考えてみました。
パッと調べてみたところ、どうやら『Rakuten TV』『U-NEXT』だったら見られそうだというところで、『U-NEXT』は以前試したので、今回は初めての『Rakuten TV』を試してみることにしました。
『Rakuten TV』は元々楽天会員だったのもあって、ログインの手間がそれほどかからず、手軽に見られて便利でした。ただ、早戻し(巻き戻し)はしにくくて初見の視聴中は諦めちゃいました。
『U-NEXT』は、対応機材があれば4Kの高画質&周囲から包まれる5.1chサラウンドという音響のハイクオリティで楽しめる【4K5.1chサラウンド】前編・後編通しチケットをポイントでレンタルできるのですが、31日間無料トライアルでは600円分のポイントがついてきていたので、少しお得に見られると考えられますね。
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※本ページの情報は2023年10月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。