ドラクエよりFF派でした。しえるです。
私は子どもの頃、ゲーム『FINAL FANTASY』の頭1つ抜けて美しいCGに心を奪われ、夢中になりました。
【FF絵師】大人になって現物を見て初めて天野喜孝さんの絵の魅力に気がつくことができました。
天野派より野村派でした
ただ、当時は天野喜孝さんによる絵に苦手意識があって、FF7・8・10やキングダムハーツシリーズで人気を得た野村哲也さんの絵の方が圧倒的に好きでした。
参考までに、左が天野喜孝さん、右が野村哲也さんの絵となります。
私はどちらかと言うと、爽やかな雰囲気でハッキリしたわかりやすい絵が好きだったので、子ども心に切れ長の三白眼や顔色の悪さ、線の細さなどが何か怖かったんですよね。
天野喜孝展「進化するファンタジー」
しかし、この『天野喜孝展 進化するファンタジー』という2016年の展覧会をきっかけに私の中で印象がガラリと変わり、天野さんの絵の素晴らしさに気づくことができました。
知らなかったタツノコプロ時代
この時、天野さんが15歳で入社したタツノコプロで『新造人間キャシャーン』や『タイムボカン』シリーズなどのキャラクターデザインからお仕事を始めていたことを初めて知りました。
『みつばちマーヤ』と混ざるくらいの認知レベルではありますが、どこかで見たことのある『昆虫物語みなしごハッチ』のキャラデザも天野さんだったんですね。
そしてこれらの、私の中の印象とは全然違う画風にビックリしてしまいました。
見方が変わった既知のFFイラストたち
FFでは初代からパッケージイラストやロゴのマーク、キャラクターデザインなどを手がけ続けています。
FF7のこのクラウドたちの絵は子どもの頃から知っている絵でしたが、当時は例にもれず苦手に感じていたのでスルーしてきていました。
でも実際に見てみたら、白・グレー・黒に金という色の組み合わせや凛としたクラウドなどがめちゃくちゃカッコイイし、後ろを飛ぶケット・シー?のようにかわいらしくてお茶目なところもあるし、何より絵の迫力に心を動かされました。
今思うと当時は、CGとまるで別人のようだったり、誰かわからなかったりするのも受け入れにくい要素だったのかもしれませんね。
FF9のブラネ女王は思わず触りたくなるような、鮮やかなローブに惹き込まれました。
FF12のジャッジは黒だけでそれぞれの特徴を明確にしながら、こんなにカッコよく描けるんだなぁと惚れ惚れしてしまいます。
こちらはFF2のメインイラストの1つですが、ゲーム紹介の挿絵として全体図を見ていたときにはふわっとしか見ていなかった、絵の細かな部分に注目して楽しむことができました。
これは展覧会で自身の感覚を頼りに実物を見ることならではの楽しみ方ですね。
かわいらしい野菜の妖精たち
個人的お気に入りとなった、画集『N.Y.SALAD(ニューヨークサラダ)』を基にしてつくられた教育テレビのアニメ『やさいのようせい』も、この展覧会で初めて知りました。
何言ってるかわからないけどキャラが伝わってくる、ふしぎでかわいらしい野菜の妖精たちと、温かみのあるやさしい雰囲気に癒されました。
絵のタッチだけでなく、アルミパネルにアクリル絵の具と車用塗料で描かれた「CANDY GIRL」シリーズだったり、絵の具や墨以外に金箔やラメを使っていたり、超巨大なキャンパスだったり、人形など立体作品だったり、さまざまな手法での表現に取り組まれていて、見ていてワクワクしました。
天野喜孝×HYDE展 天命と背徳-NIPPON EVOLUTION-
2013年にはHYDEさんとのコラボもありました。
今もまだ苦手な絵はあったりするのですが、現物から感じる絵の力や自分が知らなかった一面を知ったことで、以前のような無暗な苦手意識は薄らぎました。
実体験から得られる感覚は何物にも代えられず、得るものも大きいものですね。
これからも食わず嫌いはなるべくなくしていきたいところです。
関連記事