オリンピックサッカー準決勝のスペイン戦、すばらしい試合でした。しえるです。
社畜時代やコロナ、やべっちFC終了などで、すっかりサッカーから遠ざかっていましたが、やっぱりサッカーって面白いですね。
日本サッカーの歩みに思いを馳せてしまいます
五輪代表は、北京五輪の頃から国立競技場へ予選の応援に行ったりしていたので、感慨深いものがあります。
ちなみに北京五輪は2008年、黒髪時代の本田圭佑選手らが主力だった頃になります。
この頃の日本代表のユニフォームデザイン、カッコよくて好きだったなぁ。
現五輪代表キャプテンの麻也くんも、ユース時代の高円宮杯決勝やグランパス入団のころから活躍を見てきました。
(写真は左から吉田麻也選手、フェンロ行く直前の本田圭佑選手、顔は写っていないですが藤田俊哉選手です。)
麻也くんはずっと出場し続けていたり、あちこちでキャプテンもこなしていたりなど昔からすごい実力者でしたが、北京五輪・ロンドン五輪やA代表・ワールドカップと経験を重ねて、すっかり日本の頼れる大黒柱ですね。
PK判定されかけたプレイもナイスディフェンスでした。
また、スペイン代表も2006年のワールドカップで好きになってずっと追いかけていましたから、その強さは重々承知していますので、そんなスペイン代表と日本代表がこんなに互角に渡り合うすばらしい試合を見られて最高です。
先日のテレビ番組「FOOT×BRAIN」では長友くんがゲストに来ていて、当時や今の五輪代表について話していて、とても興味深く面白い内容でした。
北京五輪のときはメダルを考える余裕はなく、自分のことだけでいっぱいだったと言い、実力を発揮するためには「恐れを抱かない」ことが大事だと思うと話していました。
また日本と強い国との違いについては、こんなことを話していました。
スペースがなくて、パスの距離が短くなればなるほど日本人って上手いんですけど、距離が長くなればなるほど下手になるんですよ。
身体を現在に止めてしまって、この中で足を動かしちゃうんです。
でも海外のトップレベルの選手って、自分が行きたい方向があって、未来に繋がってるんで、要はゴールに繋がっているので、躍動感も出るし。
車で言えば、日本人はサイドブレーキを上げたままプレーしてるような感覚なんですよ。
現在に止まったまま、ボールに繋がったまま、プレーしてしまうので躍動感も出ない、1対1でも負けてしまう、パワーも出ないって言う状況。
意識の中で未来につながるかどうかって大事だと思うんですよね。
なんとなく伝わってくるものの、言語化しきれていない感も否めませんが、どういうことなのか具体的にベルギー戦を例に挙げて説明してくれます。
(ボールが浮いている間にベルギーの選手たちは)日本のゴールへどう進むかという動きができているんですよ。
日本の選手は止まっちゃっているんですよ、そこで。
ボールだけを見て、ボールの世界の中で生きてしまっているんで。
ただ彼らはボールと繋がる先の未来を見据えてプレーできているから、躍動感だったりスピード感も一切違ってくるんですよ。
それを聞いたMCの勝村政信さんが日本で見た、久保くんと周りの子どもたちの違いについて話します。
日本のクラブチームの子どもたちも止めて蹴るのはめちゃくちゃ上手いんですよ。
でも久保くんは止める場所が全部違ったの。
みんな足もとで止めて次って思ってるんだけど、彼だけは毎回違う場所に止めて、体はひとつ抜けているっていう。
元々久保くんはスペインの強豪・FCバルセロナに入るためにお父さんと特訓し、実際に夢を叶えてバルサイズムを学んでいるので、未来を見据えて行動することが基本となっており、1つ1つの練習やプレーに意味を持っています。
周りがふた手間かけるところを、未来を見据えて動くことでひと手間で済ませているという差が、実は大きな差となっているということですね。
それ答えですね。
建英の場合は、進むべき未来が決まっていて、だから自分が進みたいところ、パスを出したいところに止める。
これが大きな違いなんですよね。日本人はやっぱり多いです。
ボールを主語に、ボールに繋がってしまうんですよ。
その割合が多いんで、結局ボールを止めてから何かをしなければいけない。
遅いんですよね、海外だと。その一瞬でブロックつくられて終わるんで。
海外の選手たちは未来のイメージがあるんで、ボールを止める前にもうイメージがあって、だからボールが止まるところが決まる
止めることが主語になっちゃ絶対ダメですね。
日本は全体的に技術力は高いものの、それをどう活かすかビジョンを考えるのは苦手だと感じます。
そしてビジョンがあったとしても、つい目の前のことに意識がとらわれ、長いスパンで考えていたはずのものが抜けてしまうことも多い気がします。
だから最初は自分がどうしたいという目標があってやっていたことも、気づけばついその作業が主となってしまったりします。
サッカーにおいて、ボールが来たら止めて蹴るという基礎は大切です。
何十年も前の日本はそれができておらず、日本サッカーの父であるクラマー氏などに基礎の大切さを学んできました。
でもボールを止めて蹴るというのは目的ではなく基礎的手段であり、サッカーのプレーの大半の目的は相手のゴールに入れることです。
その後、名将イビチャ・オシムから「考えて走る」ことについて教わり、オシムイズムは徐々に浸透していきました。
しかし、状況を判断しながら動くことも大事ですが、真の強いチームというのは自分たちが描く明確なゴールのビジョンがあり、その状況をつくりあげるように動くことが基本と化しています。
それに対し、状況に合わせて動いていたらそれは後手後手に回るはずだよなぁというのも納得です。
現に、2010年にスペインの強豪FCバルセロナとレアル・マドリードによる伝統の一戦・クラシコでは、グアルディオラ監督の手によって、FCバルセロナが相手に何もさせない圧倒的な強さ(5-0の完全勝利)を魅せ、元日本代表の岡田監督にも衝撃を与えました。
その後、イニエスタなどのバルサ選手を中心としたスペイン代表がワールドカップ、EURO2012など立て続けに優勝して1強時代を築き上げていたのは、サッカーファンの知るところですね。
その数年後、バルサでは「型」となるプレーモデルを16歳までに身につけ、あとは自由にさせているのだと知った岡田監督は、「主体的に自分で判断してプレーできる、自立した選手の集まりで、日本が世界の強豪国になる」ことを目指し、日本サッカーの定義化・体系化を図った「岡田メソッド」を生み出しています。
このような日本サッカーの歴史背景があったうえで、今のU-24日本代表というのは常に明確に勝利を目指しているし、ふだんから海外で揉まれている選手も多く、メンタルも強いので変に相手を恐れることもないし、高い技術力を持ちながらチーム内で共通のボール運びのイメージを描けているから強いんだなぁと感じます。
幻となった当選チケット
3位決定戦は日本×メキシコとなったわけですが、チケットが当たっていたので見に行けなくて本当に残念です。
強くなった五輪代表、生で見たかった…。
観戦したかったわけですから、ずーっとそんなんで本当に開催できるの?って対応ばかりで、やれるように動いてくれよと何度もやきもきしました。
政治的なことはわかりませんが、少し延期するという案であれば、ワクチン接種率を高められ、暑さに苦しむこともないわけですから、理にかなっているなぁと思いますし、今よりは多くの人が納得して明確な目標に向けて対策・準備を進めたり、お客さんも入れてみんなで五輪を楽しめたのではないでしょうか。
ただただ「五輪をやる」を推し進めた結果、それじゃ無理だと感じるから反発は高まり、選手は誹謗中傷に遭い、暑いと文句を言われ、感染対策にはほころびが見られ、反対の声はやまず、お客さんは入れられずお金を回収できないと、マイナス面はどうしても目立ちます。
実は1964年の東京五輪の前にもコレラが発生し、対応・終息させたこともあったのだそうです。
状況や規模が違い、同列には論じられないものの「最初の対応が甘く、後手後手になってしまった」と残念がる。
という当時看護を経験した女性の言葉には共感しますし、「五輪をやる」をただゴリ押しするんじゃなくて「五輪をできるだけ安全に開催するために現実的な先手を打つ」を徹底してほしかったなぁ…と思わずにはいられません。
長友くんの話のように、ボールが来たから止めて蹴るんじゃなくて、どうゴールを決めるかビジョンを描いてパスを繋げる姿を見たいものです。