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牛乳の加熱処理方法って気にしたことありますか?【日本と海外の牛乳の常識は別物】


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カフェオレが好き。しえるです。
 

以前、牛乳の加熱処理方法の違いについて少し触れたことがありました。

ciel-myworld.hatenablog.com

実は牛乳の加熱処理について解説された本って、驚くほど少ない気がするんですね。

 

ちなみに「牛乳が体によくない」と主張する本もたくさんありますが、こういった書籍は加熱処理の違いなど製法については触れず、ひとまとめに牛乳としているものが多く、鵜呑みにはできないと思っています。

 

今回は2冊の本を基に、ふだん何も気にしないで買っていた牛乳について考えさせられるようになったことをまとめてみました。

 

尚、牛乳に関する本って本当に少ないので、2007~2008年に発行された少し古めの本による情報になります。

最初に読んだ、東毛酪農に関わった故・小寺ときさんの『本物の牛乳は日本人に合う』を主軸に、中洞牧場の中洞正さんによる『幸せな牛からおいしい牛乳』の内容と参考リンクの情報で補う形で書いております。

牛乳の加熱処理方法って気にしたことありますか?【日本と海外の牛乳の常識は別物】

牛乳の加熱による殺菌方法の違い

皆さんはふだん、牛乳の食品表示にある加熱処理による殺菌時間や温度について気にされたことはありますでしょうか?

お肉などの低温調理や常在菌について考えれば、たしかにとも思えることですが、私は知らないことだらけで驚くことばかりだったので紹介したいと思います。

パスチャライズド(Pasteurized/PAST)された「市乳」

パスチャライズドとは、フランスの細菌学者ルイ・パスツールが発見した殺菌方法で「食品本来の性質をできるだけ損なわずに、有害な細菌を死滅させる熱処理」を意味し、食品ごとに定められるものです。

元々はワインの異常発酵を防ぐために用いられました。

 

加熱方法は主に低温殺菌と呼ばれる以下の2種類。

  • LTLT(低温長時間殺菌)63~65℃30分間
  • HTST(高温短時間殺菌)72~85℃15~40秒間

できあがった牛乳は、一般家庭で日常的に使われる牛乳を指す「市乳」と呼ばれ、ヨーロッパでは「フレッシュ」「Past」「Kミルク」のマークをつけて販売されるのが一般的なのだそうです。

「Past」はパスチャライズド牛乳の略語、「Kミルク」は消費を意味するコンズームの略字を表しています。

 

低温殺菌は牛乳の風味が豊かに残り、後味や舌ざわりがよいが、殺菌に時間がかかるため大量生産に向かず、低温殺菌ほどではないが牛乳の風味が残る高温短時間殺菌が世界的に一般的な方法として取り入れられています。

伝統的な酪農国の多くでは、熱変性の少ない低温殺菌牛乳以外を「フレッシュ牛乳」と呼ばないのだそうです。

スタリライズド(Sterilized)

スタリライズドは「加熱ですべての微生物を死滅させる滅菌方法」を指します。

  • UHT(超高温滅菌牛乳)120~150℃以上1~3秒
  • オートクレーブ(完全滅菌)115℃20分以上

超高温で加熱されたUHTミルクは「保存乳」と呼ばれます。

 

ヨーロッパで「保存乳」は、簡易缶詰のように扱われており、常温流通が基本です。

 

その際には必ず空気が流通しない滅菌パックに入れられ、長期保管牛乳(Long Life Milk)として常温で1か月以上販売できます。

開封してからはすぐに飲まなきゃいけないのは変わらずなのですが、常温でそんなに持つ牛乳があることを知らなくてビックリしました。

 

ちなみに何のためにつくられているかというと、船舶用や非常食のためだったりします。


What is UHT milk?

パッケージには「UHT」「Hミルク」のマークがつけられ、「Hミルク」は保存可能の意味を持つハルトバールの略となります。

 

超高温による殺菌で、たんぱく質が熱変成を起こして加熱臭がし、牛乳の風味は失われ、ビタミンCも約25%失われてしまうのだそうです。

無殺菌牛乳

牛から搾った牛乳をそのまま詰めた無殺菌牛乳というものもあります。

こちらは乳等省令で「特別牛乳」に分類され、現在、国内では北海道中札内村(なかさつないむら)の想いやりファームで生産される「想いやり生乳」しかないそうです。

www.omoiyari.com

国によってパス牛乳・UHT牛乳のシェアは異なる 

北米や北欧では99%、パスチャライズド製法の牛乳が流通しているのだそうです。

逆にUHT製法が90%以上のシェアを占めているのは日本、フランス、スペイン、ポルトガルあたり。

 

でもここで「あれ?」と思いませんか?

 

UHT製法が9割を占めているにもかかわらず、日本で「保存乳」が常温販売されているのを見かけたことがありません。

 

日本で牛乳は基本、冷蔵された状態で販売されています。

つまり、本来は「保存乳」としてつくられているはずの牛乳が、日本では「フレッシュ牛乳」という意味合いで流通しているということになります。

 

そして日本では、 滅菌パックじゃなく普通の牛乳パックに入れられています。

 

常温流通は超高温で滅菌したものを、滅菌パックに詰めているから可能なことで、日本ではUHTで滅菌したものを普通の牛乳パックに入れているので別物ということですね。

海外からは日本式のJ-UHTと揶揄されたこともあるそうです。

 

なぜ超高温で殺菌するようになったか?

ここは本によって紹介される話に違いがありました。

 

中洞さんの書籍では、1955年に起きた「森永ヒ素ミルク中毒事件」が根底にあるとされています。

事件後に乳等省令の一部が改正され、各メーカーで腐敗を防ぐ目的で使っていた乳質安定剤を使用できなくなったことから、品質安定のためにイギリスから最新の牛乳殺菌機を輸入したのが始まりだそうです。

わずか数秒でほとんどの雑菌を殺すことに成功したことにより、多少劣悪な生乳でも商品化ができるようになりました。

 

一方、小寺さんの本によると。

戦後の高度成長期真っただ中である1960年頃の原乳は細菌数がとても多く、多い時には1,000万個もあったため、低温殺菌では追いつかなかったのだそうです。

それがUHT殺菌では0~4個まで減らすことができ、効果の高さが認められ、一気に普及していったそうです。

 

しかし戦後60年も経った今、原乳の細菌がそこまで多いなんてことはなく、日本の乳等省令では「牛乳の最近は1ml中50,000個以下」と定められており、低温殺菌でもそれが達成できているから販売されているわけで、0個である必要はありません。

 

むしろ有害菌と同時に有益菌も死滅してしまうので、いわゆる「乳酸菌」「善玉菌」といった体にいいと言われるものもいなくなってしまいます。

ciel-myworld.hatenablog.com

ホモ牛乳ノンホモ牛乳

120℃以上の超高温殺菌をする時、牛乳の脂肪球が熱を与えるプレートにこびりつき、商品化できなくなってしまうのを防ぐための「ホモジナイズ(均一化)」という工程があります。

 

1952年には森永乳業ホモ牛乳」と名づけ、高圧ピストンで牛乳の中にある脂肪球を破壊して細かくし、大きさを均一にすることでこびりつきをなくした牛乳が売り出されました。

脂肪球が破壊されてしまうので、クリームやバター、チーズもつくることができないという、厳密には牛乳とは非なるものになっています。

 

低温殺菌牛乳にのみ、このホモジナイズを経ていない「ノンホモ牛乳」と「ホモ牛乳」が存在します。

ノンホモ牛乳だけは、置いておくだけで表面にクリームが浮いてくるし、振り続ければ脂肪球同士がくっついて自家製バターができちゃうそうです。

また、低温殺菌牛乳ノンホモ牛乳の場合、おなかが牛乳を固体と同じように認識してゆっくりと消化されるため、乳糖不耐症の人でもおなかをこわさなくて済むケースがあるそうです。

 

それに対しホモ牛乳は、ホモジナイズによって消化がよくなり、風味が均一になると言われていますが、細かくされた脂肪球の表面積が6倍となって、空気と接する面が増えるため、参加が急激に進んで腐敗しやすくなってしまいます。

生成された過酸化脂質は、ガンの発生原因の1つとされています。

牛乳の成分表示にあるよくわからないやつ

全固形分

全固形分は牛乳の水分以外の約12%の部分を指し、3.5牛乳など表示される数字は乳脂肪分の割合を指します。

その割合は、四季による草の水分の含み具合によって上下し、水分の多い生草を食べる夏は3%にまで下がりますが、水分の少ない干し草や夏場に貯蔵していおいたサイレージ(家畜用飼料)を食べる冬は4%ぐらいまで上がるのだそうです。

乳等省令では3.0%以上のものと定められています。

 

ホルスタイン種の乳は3.2~3.5%の乳脂肪分が一般的。

元々1950~1960年代は乳等省令の規定を上回った分を水で調整したり、固形分を抜き取ってバターをつくったりして牛乳を薄めていたそうですが、そういった調整抜きで「成分無調整」として売り出した農協牛乳がヒットしたことから、各メーカーはこぞって濃い牛乳路線へシフト。

その流れから牛乳の濃さが最大の価値という風潮が今もなお続いているのだそうです。

1987年には乳業メーカー合意のうえで、全農独自の基準として乳脂肪分3.5%以上の生乳生産が推奨され、数値が満たない生乳の価値は半分にまで落とされてしまいました。

 

しかし先程四季によって3~4%と開きがあると書いたとおり、野外で自然の草を自由に食べていたら数値をクリアできない時期があるにもかかわらず、ただの一時の流行による価値観でしかない「乳脂肪分の高い牛乳」のために、四季を問わず一定の基準を求められています。

 

同じ条件で飼育された牛乳であれば、たしかに乳脂肪分が高いほうがおいしいそうですが、狭い牛舎で密飼いされた不健康な牛と乳脂肪分が多少低くても放牧で自然に飼育された牛の乳を飲み比べたら、どちらがおいしいかは明らかなのだとか。

にもかかわらず押し付けられた乳脂肪分神話のため、日本中の酪農家は低乳価になってしまう放牧から牛舎への密飼いに変更するようになり、餌で調整する無調整牛乳が多くを占めるようになったそうです。

 

あくまで2007年刊行の本情報ではありますが、放牧が主流だったのは1970年代前半までで、一部の子牛と観光牧場を除いて、パッケージや広告などにある牧歌的でのどかな放牧風景はイメージの世界でしかなく、現実として放牧の比率はわずか2%に過ぎないそうです。

 

たしかにそう言われてみると、訪れたことのある土地によるかもしれませんが、日本で放牧されている様子よりも、貯蔵飼料用のサイロを見た記憶の方が多い気がします。

 

また、この放牧酪農を否定した牛乳が生まれた背景には、販売先が農協しかないという事情も大きく関係しているそうです。

酪農家→農協・専門酪農協→乳業メーカーから流通していくという流れですね。

独占禁止法ってなんだろう?とかいろいろ考えさせられちゃいます。

無脂乳固形分

主成分は、たんぱく質・乳糖(ラクトース)・無機質(=ミネラル:ナトリウム・カルシウム・カリウムなど)を指し、8.3%以上などと表示されています。

乳等省令では8.0%以上のものと定められています。

これまで買ってみたパス乳

この半年くらいの間で、いろんな牛乳売り場に行ってどんなラインナップがあるのかをチェックする習慣がつきました。

 

本の発売から10年以上経過しており、パス乳や放牧について見直されつつある印象もありますが、お店によってはパス乳が一切置いてないこともあるくらい、まだまだ種類が少ないんだなと実感します。

そこでこれまで買ったパス乳と個人的な感想を紹介します。

LTLT牛乳(低温長時間殺菌)

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2005年ごろから台頭し始めたタカナシ低温殺菌牛乳

1番見かける気がします。

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乳しぼりをした日がわかる高知育ち低温殺菌牛乳は比較的飲みやすいです。

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東毛酪農低温殺菌牛乳は、カフェオレなど何かに混ぜるとクセを感じるんですが、単品であれば飲みやすかったです。 

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加藤牧場のノンホモ低温殺菌牛乳は、クセが強くて私は苦手でした。 

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加藤牧場は三芳PAで買ったときの方が少しだけ飲みやすくなっていた不思議。

HTST牛乳(高温短時間殺菌)

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個人的にめっちゃ好みな岩泉牛乳。

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こちらのパスチャライズド牛乳はリピしたいという感じではなかったです。

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日登牧場の山地酪農牛乳は私の好みではなかったかな。

余談:牛と真剣に向き合う方を見て思う自然の恵みの享受について

先日、ビーガンについて疑問に思ったことについて触れました。

 

畜産は環境汚染や大量の穀物飼料消費問題に対する極端な不買運動のような印象を受けていたのですが、中洞さんの本を読んでいて、見直すべきところが少し違うんじゃないかなぁと思う記述がありました。

ciel-myworld.hatenablog.com

まずそもそも酪農や畜産の原点は、人間が食べられない草を餌として、栄養豊富な牛乳や肉を生産することなのだそうです。

中洞さんの本の中では2007年の時点で、以下のように警鐘を鳴らしています。

輸入穀物飼料に依存せず、国内で生産した草を中心とする飼養管理技術を構築し、そこから生産される牛乳や乳製品への認知度を高めていく必要がある。
今後は、濃い牛乳よりも安全な牛乳、大量生産ではなく少量生産をめざさなければならない。

牛の主食はもともと草であり、中でも筋が入った繊維質の多い牧草を好むそうです。

そんな繊維質の多い草は人間の胃袋では消化できないものなため、 牛が消化することによって、より栄養価の高い動物性のたんぱく質となります。

 

牛がじっと座って口をモグモグさせているのには、反芻と言う胃袋の働きを助ける作用があるのですが、穀物を与えた場合はこの能力は発揮されないそうです。

さらに穀物飼料の多量給与は、乳牛の消化機能にも重大な障害を引き起こし、穀物を消化する第四胃や密飼いによる虚弱した四肢の病気が多発してしまうそうです。

 

つまり問題は畜産ではなく、過剰な大量生産と無理やり搾取するような生産の仕組みの方なのではないでしょうか?…と感じた次第です。

参考文献

お子さんがいらっしゃる方は共感しやすいかもしれません。 個人的には海外で勉強してまわり、データを基にしている所はとてもよいのですが、感情が手前に来すぎて少し読みにくかったです。

牛乳の基本や歴史、流通の仕組みがとても読みやすくまとめられているので、おすすめです。

食中毒事件などを経て日本の食の安全が発展していく様子が窺えます。

たとえ食べ物として売られていても安全とは限らず、どんな食材を選ぶのが大事かということの重要性がよくわかる本となっています。

参考リンク

kokocara.pal-system.co.jp


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