マティス展 Henri Matisse: The Path to Color
@東京都美術館 企画展示室(東京都台東区)
期間:2023.4.27〜2023.8.20
休室日:月曜日、7月18日(7月17日・8月14日は開室)
開室時間:9:30〜17:30(金曜は~20:00)
鑑賞にかかった時間:約2時間
絵画・彫刻・切り紙絵・版画・礼拝堂…たくさんの作品に触れてマティスの魅力を知れました
これまで私の中の画家マティスの絵は漠然とですが「黒目しかない人の顔が怖い」「カクカクした絵」というイメージでした。
でも今回マティス好きの連れに誘われて、なんとなく「よく知らないから1度ちゃんと見てみよう」という気持ちになったので、上野にある東京都美術館まで行ってきました。
前よりマティスを好きになれて、行ってよかったです!
久しぶりの東京都美術館
上野動物園正門脇にある東京都美術館、来るのが久しぶりすぎて場所の記憶があいまいになっていて違う方向に行きかけてしまいましたw
いつぶりなんだろう?と思ったら2016年のボッティチェリ展以来でした。
今回のマティス展は「日時指定予約制」です。
めちゃくちゃ暑い日だったので日傘を使ったのですが、美術館だと長い傘を預ける可能性が高いだろうと思って折り畳みにしたらやっぱり持ち込み禁止でした。
出かける直前で調べる時間もなかったからとっさの判断でしたが、帰る時に預けていたのを忘れて帰っちゃうことを何度かやってしまっていたので、ナイス判断自分でした。
中に入るとチケット購入時に指定した予約日時によって入場列が分けられていました。
公式サイト(ART PASS)で購入したQRチケットは、分配された側は送られたURLから受け取る作業が必要なようなので、事前に済ませておいたほうがよさそうです。
この奥に『豪奢、静寂、逸楽』のフォトスポットがあって、気に入った絵だったのに撮り忘れてしまったのは後悔中……。泣
入場に並んでいたからそのまま列に向かってしまいましたが、寄りたかったトイレは展示スペースに入る前にもあったので無事入れてよかったです。
マティス展の感想
いろんな作品を観れて大満足
私は昔、美術館に飾られるような芸術作品はキレイに写実的に描けている絵が好きで、そうじゃない絵の良さがわからなかったのですが、今はそのこだわりはなくなって「画派?知らん、何であってもいいと思ったらいい」と自分の感性で自由に楽しむようになってから美術館めぐりがより楽しくなりました。
専門家でもないただの素人が全部を知ってる必要はないし、その作家の作品すべてをいいと思う必要もなくて、この人のこの作品が好きというピンポイントでも全然いいし、好きな作品が多ければその人に興味を持てばいいという感覚でいます。
音楽やファッションもそういう感覚なので、落ち着くところに落ち着いた感じですね。
そんなわけでマティス作品のすべてがいいとは思いませんでしたが、好きな作品もいくつもあって、前よりマティスのことが好きになれました。
実際、改めてマティス展のフライヤーを見ても私の好きな絵はほとんど載ってなくて、これは行かないとわからなかったなと思います。食わず嫌いしなくてよかった。笑
これほど大規模なマティス展が開かれるのは約20年ぶりなのだそうで、1869~1954年と84年生きたマティスの絵画、彫刻、版画、切り紙絵、手がけた礼拝堂の資料や映像と多岐にわたって展示されています。
なのでマティスのことをよく知らなくても、このマティス展でたっぷり魅力を知れる素晴らしい展示会になっていると思います。
- フォーヴィスムに向かって 1895-1909
- ラディカルな探究の時代 1914-18
- 平行する探究――彫刻と絵画 1913-30
- 人物と室内 1918-29
- 広がりと実験 1930-37
- ニースからヴァンスへ 1938-48
- 切り紙絵と最晩年の作品 1931-54
- ヴァンス・ロザリオ礼拝堂 1948-51
テーマや年代で8つの章に分けられていて、マティスが何に夢中だったかとか、課題をもって試行錯誤していたんだなぁみたいな背景など「表現したい何かがあること」を感じられて、とても見やすく感じました。
『豪奢、静寂、逸楽』は色がすごい美しいと感じたんですけど、色使いを模索していて、悩みながら描かれたんだなぁと心境が合わさるとまた面白いですし、特に『背中』という彫刻は、I~IVまでの間にリアルな人体から段々と単純化というのでしょうか?模索しながらデフォルメしていった様子が明らかに窺えるので、この感覚がベースにあると考えれば、ほかの絵も腑に落ちる感覚がありました。
切り紙絵は1度絵を見て、タイトルを確認してからもう1度絵を見ると、見え方が変わって、こういう状況を表現したのかな?なんて推察するのが楽しかったです。
お客さんはたくさんいましたが、回り方を工夫すればほぼ快適にじっくり見られたのもよかったですね。
最後に紹介されていたヴァンス・ロザリオ礼拝堂はマティスが壁画や十字架のキリスト像などを手がけているのですが、ステンドグラスがとてもかわいらしく、光が注ぎ込む姿だったり、日が暮れてからの外観だったりと、とても素敵でした。
La Chapelle de Matisse à Vence - YouTube
撮影可能のフロアもあり
私はよくSNSやブログが個人利用なのか、商用利用なのかの判断が難しいなと感じることが多いです。
が今回は「撮影に関するお願い」の中で写真をSNSやブログにアップする際は肖像権に注意を促す文章があり、これは個人利用に含まれる認識でいいのだろうか?とスタッフさんに確認したところ、美術館としてSNSやブログにあげることをOKと明言しているわけではないけど、NGにしているわけでもないということでした。
なのでこの記事はお言葉に甘えさせてもらいました。
私が元々持っていたイメージどおりで、実際に見てみたらいいなと思った絵はこのような感じ。
順番に『赤の大きな室内』『ラ・フランス』『立っているヌード』というタイトルです。
「カクカクした絵」という印象を持っていたのはきっと、単純化や窓モチーフを多く描いていた時期があったからなのでしょうw
私が特に気に入った絵の1つがこちらの『黄色と青の室内』。
奥行きがあるものとないもの(立体と平面)が混ざっていてめちゃくちゃなのに絵としてうまく成り立っていて、部屋の様子も思い浮かべられるのが面白いですし、色の組み合わせがまた好きです。
マティスは華やかな色使いのイメージだったので、木炭画はとても新鮮な気持ちで楽しめました。というか木炭画、めっちゃ上手い……!
以前の私は表情に生気や感情がなくて怖いという印象を持っていたのですが、全然そんなことはなく、生気はあれば表情もあって、モノクロでもキャンパスの向こうの人を感じられるようでした。
『魔人探偵脳噛ネウロ』とかに出てきそう。笑
「このような絵を描こう」という構図のメモのような絵が見られたのも面白かったです。
マティス好きの連れが「『豪奢Ⅰ』ってよくわからないんだよね」と話していて、たしかに3人が何しているところなのかよくわからない絵なのですが、それに対する習作を見ると、明確にこの構図を描こうとしている意思を感じたり、反転させてどっちがいいか確認したりだという様子が垣間見えて面白かったです。
こちらは唯一撮影OKのブロンズ像『貝殻のヴィーナス』。
彫刻もやっていて、しかもこんなにたくさんの作品があるというのは今回初めて知りました。
なんでも自分の考えを整理したり、補足をするためによく彫刻をつくっていたのだとか。
そのことから副次的なものと捉えられていたようですが、最近では本質的なものだと見直されているのだそうです。
個人的には、表現したい何か……元ネタがあって、そこからつくり上げる作品のほうが副次的な産物という感覚があるので、なぜそこまでわかっていながらこれまで本質的なものと考えられてこなかったのか逆に不思議ですが…。
先ほどの『貝殻のヴィーナス』が1930年、この『裸婦』は1930~1931年で、近くに展示されていて、ポーズも近しいものがあるので関連があったりするのだろうか?と気になってしまいました。
こちらは『芸術・文学雑誌ヴェルヴ』。
創刊からマティスの切り紙絵などが表紙を飾ったり、全ページで特集されたりなどでマティスの作品が広められる一役を担っていたのだそう。
かわいいものがたくさん!グッズショップ
今回のグッズショップを手がけているのは、長谷川町子記念館や先日まで三菱一号館美術館のグッズショップを運営していた株式会社Eastさん。
イベントが始まる前からTwitterからめちゃくちゃ気合入っている様子が窺えていましたが、実際グッズの種類の豊富さも、展示の多様さもすごくて、デザインがいいものも多いし、見入ってしまいました。
『オセアニア、空』『オセアニア、海』のコーナーはめちゃくちゃ私好みで、中央右手にあるミニトートを買うかどうかめっちゃ迷っていました……。
この大きさで5,000円超で、持ち手がそこまで丈夫そうには見えなくて、使うとしたら頻度はどうだろうか?と考えた結果、購入までは至りませんでしたが…。
この色の組み合わせ、たまりません。
アトリエに飾ってあり、作品にも登場していた織物コーナーもありました。
Life with MATISSE
— 株式会社East (@TeamEastest) 2023年4月30日
マティスはアトリエの壁に中東や北アフリカの織物を数多く飾っていて、それらは作品にも描かれています。ほとんど白黒写真ですが、それを画家の見ていた「色」で感じてみてください。マティス展ショップの片隅にコーナーをつくってあります。
白黒写真は私物の洋書から拝借。 pic.twitter.com/3azSpw0bG4
チョコレートポットというものがあるんだ~と絵を見ながら思っていたので、実際に実物が売られていてビックリしました。
このマティス展で初めてマティスの顔を知ったのですが、こんなかわいらしいおじさんが描いていたなんてビックリです。マティス本人も絵になりますね。
連れの誕生日が近かったので、プレゼントに購入したカフェオレ用コーヒーバッグ。
マティスの絵ではありませんが、カップ型のパッケージがかわいいです。
4種類用意されていた広島のレモンケーキはポストカード付で、どれがいいか確認してこちらもプレゼントに購入。
中でもこのレモンケーキはアンテナショップなどでは扱っておらず、広島に行かないと買えないという話で、連れが気になったポストカードは別のレモンケーキについてくるものだったのですが、なかなか食べられないレア度のほうが魅力が勝ったようですw
家に飾りたくなるような好きな切り紙絵があったので、ミニプリントに惹かれていたのですが、ミニプリント用マットが売り切れていたのと、額縁が思っていたより倍以上高かったので諦めてしまいました。
マティスの絵はトリミング禁止だという話を見ていたのですごく納得の品ぞろえだったのですが、変わったサイズの多いマティスの絵に対し、ポストカード用マットがたくさん用意されていました。
わぁ!
— 株式会社East (@TeamEastest) 2023年5月26日
素敵です。
そうなのです。
マティスのグッズは「トリミング禁止」なので、余白部分迄を、手拭いの生地幅に合わせると自然に長くなり…
作品が切れないようにつくりました。
そういう理由で既製額だとサイズが
合わないのですが…素敵に飾って
下さりとても嬉しいです。 https://t.co/UltZOJz3E0
過去最大規模の求人を呼びかけている様子を見ていましたが、おかげでスムーズにグッズを購入することができました。
袋は有料で、礼拝堂のステンドグラスデザインの袋もありました。
今初めて気づいたんですけど、ロッカーに財布を預けてしまっていても、スタッフさんに言えば買いに戻れるんですね。
レジカウンターに書いてあるのは必要な人にだいぶ届かない気がしますが。笑
他にもどこかに書いてあったのかな?
お気に入りの切り紙絵『馬、曲馬師、道化』のポストカードをゲットしました。
cafe Artでランチ
見終わったらおなかが空いてきたので、初めて東京都美術館内で食べることに。
美術館内には『RESTAURANT MUSE(レストランミューズ)』『RESTAURANT salon(レストランサロン)』『cafe Art(カフェアート)』と3つの飲食店が入っており、今回はカフェアートに行ってみました。
大きな窓に外の光も感じながら、広めの席でゆったりできるのがいいですね。
パスタやサンド、スープなどのフードメニューがありました。
ハヤシライスはたまに甘いのがあるからなぁ~と思って、比較的Art特製ビーフカレーを選んでみました。
連れがハヤシライスを選んだのでひと口もらったら予想は的中していましたw
福神漬けの味が濃いめでビックリでした。