今、社会科見学したい。しえるです。
日本は、戦後に高度成長期を迎えて発展しました。
技術革新が進み、ものをつくればつくるほど売れた、大量生産・大量消費の時代です。
しかし今はSDGsの目標の1つに「つくる責任 つかう責任」と掲げられるように、持続可能な世界をめざすために、大量生産・大量消費から抜け出そうとしているところです。
施策としては、3R(リデュース<減量>・リユース<再使用>・リサイクル<再利用>)を代表とする循環型社会、デジタル化、オンデマンド生産などがよくあげられますよね。
もちろん個人個人の取り組みも必要と思いますが、企業の生産量や消費量は桁違いであり、各企業の生活がかかっているから一筋縄ではいかない問題とはいえ、避けて通れない部分だとも思います。
でもそれにしては、消費者側は生産者側のことを知らなさすぎると思うのです。
私は仕事で生産者側として工場に入ったり、飲食店を回したりしなければ知らないことばかりでした。
私が見たものはごく一部の世界ですが、シェアできればと思います。
働くまで知らなかった生産者側のコストの世界【材料×人×お金】
大量生産だから安く済む側面
企業としては機械で一気につくる量や一気に運ぶ量が多いほど、製造し届けるコストを下げられます。
100個のものをつくるのにかかる総コストが10,000円であれば1個あたりの原価は100円ですが、総コスト10,000円で10個しかつくれなかったら1個あたりは1,000円原価がかかっていますね。
少量で上がってくるコスト
材料費の考え方
たとえば、アクリルや金属を使うとき、つくりたいもののサイズ感が小さければその分材料を使わないから、安くなるのでは?と思うかもしれません。
しかし、こういった素材は規格サイズのものをどう上手く使って効率よくつくるか?という考え方をしていくことになります。
A4の紙から何個に切り分けられるかな?といった感覚ですね。
だからA4をそのまま使えれば1番かんたんで安上がりですが、そこから削っていけばカット代が発生しますし、切り落とした分はロスとなります。
A4から少しでもはみ出す大きさならA3を使わなければいけませんので、材料費は変わってきますね。
(わかりやすいようにA4でたとえましたが、実際の規格サイズとは異なります。)
よってかかる材料コストは、量やサイズと規格サイズの相性しだいでいくらでも変動してきます。
規格サイズは製造時の原型からの派生
紙やフィルム、エア緩衝材といった素材は、ロール状にできあがっていきます。
トイレットペーパーとかラップみたいな状態ですね。
これは原反(げんたん)と呼ばれ、ものによりますが高さでだいたい1~2m、長さはkm単位にも及ぶ大きさとなります。
1番割安に買えるのはこの原反です。
でもそんな大きなものを扱える場所は限られていますから、必要に応じてサイズを切り分けていきます。
ロールを小巻にしたり、シート状に平判としてカットされたりしていくわけですが、定番サイズとして用意されるのが規格となっていきます。
ここには小巻にしたり、カットしたりする作業賃が加算されていきます。
規格サイズ以外で欲しい場合は、さらに切ったり加工を加えたりする分の加工費用が重なっていきます。
機械を使うのにはお金がかかる
家庭用プリンタとは感覚がまったく異なる大量生産に向いた機械を使ったら、枚数が少なければ割高になっていきます。
それらはすべて人や機械を動かすコストがあるからにほかなりません。
たとえば機械で印刷をするとき、500枚、1,000枚、10,000枚と何枚刷っても、機械に電源を入れて、人が配置について作業する手間は変わらないですよね。
機械を動かすには最低ロットといって、この数をつくればマイナスにならずに元が取れるというような目安量や最低金額が設定されています。
お弁当数百個に使う食材
私は飲食業時代、イートイン・テイクアウト・デリバリーと合わせて、毎日数十~数百個と大量の仕出し弁当をつくっていました。
仕出し弁当とは、事前に予約注文を受けて指定日時に指定先まで届けられるお弁当のことで、主に冠婚葬祭や会議・イベント用、ロケ弁などに利用されます。
正確には覚えていないですし、メニューや注文量にも左右されますが、 1回の仕入れでだいたいお肉10~20kg、野菜10kg以上、お米20~30kg、卵3~5箱、各調味料もキロ単位、週2ペースで購入していきます。
これは届いた食材をダンボールから取り出し、冷蔵庫などに保管していくだけでも超重労働です。
ちなみに個人的に飲食業で1番厄介なのは消費期限だと思っています。
買った食材もお客さんがいなければ、やがて腐ってしまうからです。
新鮮な生の食材は、あまりにも期限が短いです。
在庫を抱えるだけでも大変なのに、売れなかったら使いものにならなくなってしまうのです。
もちろん使い切れるように工夫を頑張りはしますが、稼ぎが安定しないうちは、どれだけの食材を仕入れればいいのかわからなくて苦労しました。
事前注文や繁盛していて人の入りが見込めていれば、注文量に合わせて食材を注文して、業者さんに用意してもらい、配送してもらうことができます。
キャンセル料が発生するのは、受けた注文のためにこれだけ人とものとお金が動いているからです。
メニューを増やせば増やすほど、食材を管理し調理方法を覚えるのが大変になるので、バナナジュースやチーズタルトのような専門店は理にかなっていると言えます。
レンチンやつくり置き、冷凍食材らは、食材をムダにしないための至極真っ当な手段です。
電子レンジを使うのは、オーブンやスチコン(スチームコンベクションオーブン)、トースターを使うのとなんら変わりありません。
コンロも時間も人力も限りがありますから、特性によって使い分けるだけです。
この記事は、そんな飲食時代の経験を経てたどりついたものです。
※追記
【入れ替え】高級ディナーで出てくる料理が全て冷凍食品だったらグルメな宮迫さんは気付くのか?
ヒカルくんがやっていた冷凍食材ドッキリの企画が面白かったです。
飲食店では食品業者さんの進化のすごさを目の当たりにしていたので、紹介されている商品を食べたことはないですが、そういったものがあったとしてもあまり驚きはありませんですし、結局シェフの組み合わせ方しだいでいくらでも化けるのだと思います。
その間に展示会に行けなかったのは少し心残りなくらいです。笑