不慣れなことに頭使って疲れました。しえるです。
電子計算機、プログラム、ディスプレイ及びプリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付け、その電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力できるようにしておくこと
2022年1月1日から施行された電子帳簿保存法ですが、プリンタが必須だと気づいていなくて、慌てて探し始めました。
正直な話、日常的にコンビニプリントで事が済む私としては、場所を取ってランニングコストもかかるプリンタをわざわざ新規で購入しなきゃならないというのは理不尽で非常に気が重いです。
飲食店の時も営業許可のための設備とかがあったりしたので、そういうものとしてしょうがないと思いはするのですが、電子化なのに紙を増やす機械が必要ってどういうことなのでしょうか…。
グチはまぁさておき、買わなきゃいけないということなら前向きに考えなくてはなりません。
とは言え元々買う気が一切なかったプリンタですから、あまり場所を取りたくはありませんし、支出は最低限に留めたいところです。
最近はどんなプリンタが出ているのか知らなかったのですが、調べてみると持ち運びも可能な「モバイルプリンタ」と呼ばれる軽量でコンパクトなプリンタが発売されていることを知りました。
そこで今回は購入にあたって、次の条件を満たすコンパクトなモバイルプリンタを調べた時の情報を共有してみようと思います。
自分はガチでこの情報を基に選んだのでピンポイントな内容になっていますが、個人事業主や小規模事業の方で同じような方もいらっしゃるのではないかと思ったので、あえてそのまま記事にしてみました。お役に立つことがあれば幸いです。
尚、記事内のスペックは2022年1月の各メーカー公式サイトの情報を基にしております。
省スペース・ランニングコストも抑えたい!小型A4プリンタを真剣に比較検討してみた。【フリーランスの電子帳簿保存法対応】
プリンタの出力方式の違い
A4が印刷できる小型プリンタを調べると「インクジェット」と「サーマル」の2タイプが存在するようです。
インクジェット
家庭用プリンタでおなじみのインクジェット方式は、インクカートリッジをセットして、紙にインクを吹きつけて出力するタイプ。
いわゆる「CMYK」と呼ばれる、色の三原色シアン・マゼンタ・イエロー+ブラックを使って色を再現しています。
インクには「染料」と「顔料」の2種類があります。
水に溶ける「染料インク」は発色が鮮やかなので写真や光沢紙に向いているとされています。
紙に染み込ませてプリントするので、インクが乾くまでに時間がかかります。水に溶ける性質から濡れるとにじんでしまったり、光にも弱いので色あせてしまったりしまうことも。
水や油に溶けきらない「顔料インク」はくっきりプリントでき、染料より光に強いから色あせにくいので、長期保存したいビジネス文書などに向いているとされています。
インクを紙に付着させて出力するので、にじむこともなくすぐ乾きますが、こすると色落ちしてしまうことも。
カラーのインクカートリッジが一体型だと、1色切れただけで全体を交換しなきゃいけないので、1色ずつ交換できるタイプのほうが資源をムダにせずに済むし、経済的です。
色数が増えるほどプリントがキレイになりますが、個人的に今回は4色で十分と考えています。
サーマル
熱で出力内容を焼きつけるタイプで、さらに「熱転写」と「感熱式」があります。
「熱転写」は、『インクリボン』というインク層が重ねられたフィルムロールのインクを熱で溶かして転写させます。カーボン紙複写の熱Ver.といったところでしょうか。
「感熱式」は熱に反応して色が変わる『感熱紙』に熱を当てて出力するタイプとなります。レシートが代表格ですね。
条件に合いそうな小型プリンタをリストアップしてみる
価格.comで幅400mm・高さ100mm以内のプリンタを探してみたところ、EPSON・CANON・HP・ブラザーと名の知れたメーカーばかりでした。
となると、プリントの質や速度に大差はないと考えられるので、それ以外の部分の違いについて注目してみました。
EPSON PX-S06
ほかの機種にはない特徴として「メンテナンスボックス」という消耗品の存在があります。
これは目詰まりを解消するヘッドクリーニングなどで不純物を排出するために発生した廃インクが溜まる所で、従来は廃インクがいっぱいになったら保守修理に出したり、買い替えたりするしかなかったものが、自分で交換できるようになったというエプソンの画期的なシステムなのだそうです。(フチなし印刷時の廃インクを溜める吸収材については、修理交換対応となるようです。)
カラーインクの残量が限界値を下回った場合、最長5日間はブラックインクだけでモノクロ印刷ができますが、一時的な機能のため、基本的にはカラーインクがなければモノクロ印刷はできません。また、カラーインクが3色一体型なので1色がなくなったら買い替えが必要なのは経済的ではありませんね。
カラーユニバーサルデザインと言って、明暗差や濃淡差がないと色の違いがわかりづらい色弱の方向けに配慮された配色をする考え方がありますが、このプリンタにはエプソン独自のカラーユニバーサルプリント機能がついていて、自分で色味を調節せずともパターン変換処理をしてプリントしてくれるそうです。
インクジェットプリンタの中で1番コンパクトなのと、本体色にブラック・ホワイトの選択肢があるのはいいですね。
持ち込みの無償保証期間は1年ですが、無償で引取回収して修理しますよという有料のオプション「エプソン引取保守パック」もあります。
出力方式:インクジェット/顔料4色
解像度:最高5,760×1,440dpi
サイズ:収納時 309×159×61mm、使用時 309×232×217mm
重量:約1.7kg
ウォームアップタイム(電源ON~稼働時間):22秒以下
ファーストプリントタイム(印刷開始~用紙排出):カラー約21秒/モノクロ約14秒(ACアダプター使用時)
消費電力:プリント時 約12W、待機時 約3.3W(非充電)
消費電力量:0.18kWh
稼働音:45~49dB(A)
給紙可能枚数:普通紙20枚
インク公式価格(税込):ICBK82 ブラック1,815円/ICCL82 カラー1,309円
消耗品価格(税込):(インク廃液用)メンテナンスボックスPXMB5 528円
A4普通紙 印刷コスト:カラー約14.2円/モノクロ約7.5円
Wi-Fi接続:○(5GHz・Wi-Fi Direct)
耐久性:A4 15,000枚または5年
本体カラー:ブラック・ホワイト
Canon TR153
スマホやプリントからプリントを指示すると自動で電源オンされるのは、ひと手間省けていいですね。
ブラックインクの使用量を通常よりも抑えることができる「ブラックインク節約モード」と、ブラックインクが切れても、カラーインクでカバーしてモノクロ印刷をする「ブラック合成モード」が搭載。
カラーインクが4色一体型であり、キヤノンはカラー印刷・モノクロ印刷ともにカラーインク・黒インクが両方セットされていないとプリントできないので、インクの購入機会は多そうですね。
購入後1年間は無償修理保証期間とのこと。(消耗品除く)
出力方式:インクジェット/5色ハイブリッド(染料4色+顔料1色)
解像度:最高4,800×1,200dpi
サイズ:収納時 約322×185×66mm
重量:約2.1kg
消費電力:プリント時 約8W、待機時 約1.1W
消費電力量:0.24kWh
稼働音:約40.5dB(A)
給紙可能枚数:普通紙50枚
インク価格(税込):BCI-19 Black ブラック1,320円/BCI-19 Color カラー1,760円
A4普通紙 印刷コスト:カラー約13.4円、モノクロ約6.9円
Wi-Fi接続:○(5GHz)
耐久性:A4普通紙15,000枚
本体カラー:ブラック
HP OfficeJet 200 Mobile CZ993A#ABJ
個人的に注目しているのは、HPのプリントヘッド一体型インクカートリッジ。
印刷頻度が低いとプリントヘッドが目詰まりを起こし故障してしまうことがあるが、プリントヘッドがプリンタではなくインク側についていることで、目詰まりが起きてもインクカートリッジを交換するだけで解消できるのだそうです。
「⽬詰まりによるプリンターの修理や買い替えの必要がありません。」とメーカーの紹介文では言い切っているほどですが、こちらとしてもプリンタが簡単に壊れてほしくないというのは最重要項目なので、印刷頻度が低いだろうなぁと思いながらも買おうとしている身としては魅力的です。
また、カラーインクが3色一体型ではありますが、黒かカラーどちらかのインクが切れても印刷を続けることが可能で、あまりカラー印刷をしないのであれば、黒インクだけをセットして印刷をすることができる点も非常に惹かれます。
スマホアプリでインクの残量をチェックをできるのは店頭でも確認できて便利そうですし、増量インクという消費量に合わせた選択肢も用意されていて、増量であれば経済的で⼊れ替えの⼿間も抑えられるので、自分の使用頻度に合わせてインクの使い方に自由が利いていいですね。
レビューを見ていると、Wi-Fiだと接続が不安定になる時があるようなので、USB接続が安パイっぽそうです。
消耗品除き、購入後1年間は無償保証期間で、その後は有料の保守サービスあり。
出力方式:インクジェット/4色(染料3色+顔料1色)
解像度:最高4,800×1,200dpi
サイズ:収納時 364×186×69mm
重量:約2.1kg
ファーストプリントタイム(印刷開始~用紙排出):カラー最速14秒/モノクロ最速12秒(AC電源使用時)
消費電力:プリント時 約15W、待機時 約3.9W
稼働音:47dB(A)
給紙可能枚数:普通紙50枚
インク公式価格(税込):HP62 黒(C2P04AA)1,860円/HP62 カラー(C2P06AA)2,250円、HP62XL 黒(増量)(C2P05AA)3,590円/HP62XL カラー(C2P07AA)3,590円
A4普通紙 印刷コスト:カラー約13.3円、モノクロ約5.4円
Wi-Fi接続:○
本体カラー:ブラック
HP OfficeJet 250 Mobile AiO CZ992A#ABJ
こちらはOfficeJet 200 Mobile CZ993Aと同じHPのもので、プリントヘッド一体型インクカートリッジや片側インク切れでもプリント可のメリットを持ったうえで、スキャンやコピーもできる複合機プリンタ。本体のタッチスクリーンやスマホアプリからも操作ができます。
スキャナを持っているからプリントだけできればいいなと考えていましたが、複合機を買えば1つで済むし、スキャナは売ってしまおうというのもひとつの手です。
ただ、スキャンの最高解像度が600×600dpiであることを考えると、専用スキャナのほうが高解像度だし、メーカーが変わればこれまでスキャンしてきたファイルと保存方法が変わるであろうことから、整理の手間が発生しそうです。
ACアダプタがなく、電源ケーブルだけで接続できるので、配線まわりはスッキリできそうですが、今回ピックアップした中では稼働音が最も大きいのは気になります。
消耗品除き、購入後1年間は無償保証期間で、その後は有料の保守サービスあり。
出力方式:インクジェット/4色(染料3色+顔料1色)
解像度:最高4,800×1,200dpi、スキャン最高600×600dpi、コピー最高600dpi
サイズ:収納時 380.2×198.3×91.3mm
重量:2.96kg(バッテリー含めると3.06kg)
ファーストプリントタイム(印刷開始~用紙排出):カラー最速13秒/モノクロ最速11秒(AC電源使用時)
消費電力:プリント時 約15W、待機時 約3.7W
稼働音:印刷時54.5dB(A)
給紙可能枚数:普通紙50枚
インク公式価格(税込):HP62 黒(C2P04AA)1,860円/HP62 カラー(C2P06AA)2,250円、HP62XL 黒(増量)(C2P05AA)3,590円/HP62XL カラー(C2P07AA)3,590円
A4普通紙 印刷コスト:カラー約13.3円、モノクロ約5.4円
Wi-Fi接続:○
本体カラー:ブラック
ブラザー PJ-763/763MFi
旧型ではありますが営業さんが持ち運びできるサーマルプリンタを使っているところを見たことがあって、小さなプリンタでスムーズに出力していてビックリしたことを思い出します。
感熱式のサーマルプリンタはインク代はかかりませんが、本体価格がインクジェットプリンタの約3倍し、感熱紙も普通紙の10倍前後と初期費用がなかなかに高額です。
感熱紙はメーカーからノーマルタイプと高保存の2タイプが出ていて、ノーマルが約3年、高保存が約10年判読可能とされています。
日常的に時間が経つとレシートの文字が消えてしまうことは体験したことがあるかもしれませんが、感熱紙は薬剤が塗られていて熱に反応して着色する仕組みで、その薬剤に光や水分油分などが化学反応して色が劣化していきます。
そのため長期保存したい場合は高保存が必須と言えそうで、高保存タイプとなるとさらに金額が上がるので、使い方によっては思ったよりランニングコストが安くないかもしれません。
別の見方をすれば、自然経過で文字が消えるからシュレッダーにかける必要がないという風に考えることもできますねw
10年後がどのような社会になっているかはわかりませんが、とりあえず自分がプリントした紙をどう扱いたいかによって、メリットデメリットの感じ方が大きく変わってきそうです。
MFiというのは、「Made for iPod」「Made for iPhone」「Made for iPad」として、iPod、iPhone、iPadそれぞれと専用に接続するよう設計され、米Appleが定める性能基準を満たしていると認定された電子アクセサリーであるということ。
MFiのみ、iOS端末とのBluetooth接続に対応しています。
【電子帳簿保存法】重要トピックを法律から解説!誰が強制適用されるの?罰則は?Amazonの注文履歴でOK?カラープリンタが必要? ガチで法律から読み解きます。の動画を見る限りでは、スキャンデータを使う場合はモノクロプリンタは避けた方がよさそうです。
出力方式:サーマル
解像度:300×300dpi
サイズ:収納時 255×55×30mm
重量:約480g(充電池カバー装着時)/約610g(充電池装着時)
最大消費電力:50W
消耗品:A4感熱紙<PA-C-411>/A4感熱紙(高保存)<PA-C-412>/A4幅感熱ロール紙<PA-R-411>
Wi-Fi接続:×(Bluetooth接続)
耐久性:A4 約100,000枚
本体カラー:ブラック
初期費用とランニングコストを考えてみて…
多くの機種は印刷コストが記載されていますが、文系なりに入手できる情報の中で、かかる費用を試算してみます。
消費電力はそんなに大差なさそうなので、プリンタを購入してからA4をだいたい500枚印刷するまでに消耗品含めていくらくらいかかりそうかを考えてみることにしました。
かなり雑な計算だとは思いますが、インクジェットとサーマルの費用感の差を確かめてみたかったのです。
今回は条件をそろえるために、1月24日のヨドバシ.comの価格を抽出しています。
A4普通紙は種類が色々ありますが、約600~800円あれば500枚を購入できそうですので、ここでは間をとって700円と仮定してみますが、おそらくはもっと安く買えるでしょう。
インク代については、下記リンクにあるインク1セットのプリント可能枚数を基に、だいたい500枚プリントするために買う回数を考えてみました。
PX-S06については載っていなかったので、同じPXシリーズで少ない数値を代わりに参照しています。
Canon【インクジェットプリンター】インクカートリッジ1本で印刷可能な枚数について
EPSON 各プリンターにおけるイールド枚数(各色での印刷可能枚数)情報|製品情報|エプソン
年に数百円くらいしかコンビニプリントを使ってこなかった自分は、プリンタがあれば使うだろうとはいえ、特にカラープリントは使う姿がほとんど浮かばないので使用頻度が少ないのではないかと考えています。
正直私にとってカラーコピーがどうしても必要な時って年に数回あるかどうかという感覚ですので、コンビニプリント50円で済ませてしまったほうがどう考えても安いと思うんですよね。
そうなると、カラーインクの使用を最低限に抑えた場合というのもありえそうなので、さらに雑計算を続けてみます。
HPのプリンタであれば、カラーインクがなくてもモノクロ印刷ができるので、次のインクを買わなくても使うことができます。
しかし、エプソンやキヤノンであれば、カラーインクがないとモノクロ印刷はできないので、使用頻度が少なかったとしてもインク交換は発生すると考えられます。
HPは本体が安く、インクは高めながら経済的な増量インクがあり、カラーインクなしでもモノクロ印刷が可能。
ヘッドプリント一体型インクのため目詰まりによるプリンタの故障がなく、1年無償保証もついていると考えると、ほかのプリンタよりサイズが大きいのは残念ポイントではありますが、トータルで見ると1番コストが抑えられて自分に合った使い方ができるのではないかと思い、結局私はHP プリンター OFFICEJET 200 MOBILE CZ993Aを購入しました。