なかよし・りぼん・花ゆめ・LaLa育ち。しえるです。
昔読んでた少女向け……というか恋愛マンガって、付き合うまでのあーだこーだ紆余曲折あって、ようやく付き合って、後日談がちょっとあって終わるか、付き合った後もすれ違いで色々あるという形が多かったような記憶があります。
もちろん読んでたマンガによるし、そうじゃないものも全然あるんですけど、20年前はそういうのが多くて、10年前くらいからそうじゃないのが混ざってきて、この5年くらいでだいぶ変わったような印象があるんですよね。
だいたい「早とちり」「思い込み」「コミュニケーション取らずに1人でモヤモヤ」「意固地」ばっかりだな~とふと思って、でも「素直に聞けば済む話……とか言っちゃうと話が広がらないか」って思い直した、いつしかの記憶があったのですが、でも最近読むマンガはすんなり付き合って、それからの話を描くものが増えている気がするし、素直で展開が早く、ただ幸せな時間が続いてほっこりすることも多くなってきています。
「なんだ、成り立つじゃん!」と思うと同時に、行きつく先は同じなのに、それに至るまで勝手に問題を作りあげて長々とネガティブに苦しむのか、ただただまっすぐ向き合ってさっさとポジティブな時間を過ごすのか、それは天と地の差で、今の私は後者でありたいなと思います。
今回は私がそんな風に思うようになった「変化を感じる恋愛マンガ」を紹介します。
紹介のために最序盤の物語の導入部分や大筋の流れなどの内容について触れているので、ご注意くださいませ。
恋愛マンガの変化?素直であったかい時間が続く作品を読む機会が増えた気がする今日この頃
『ゆびさきと恋々(れんれん)』(森下Suu)
私の世界になんの脈絡もなく現れた
この感情のやませ方なんて私は知りたくない
耳が音をうまく聞き取れない女子大生の雪が困っていたところを助けてくれた大学の先輩の逸臣。
友人が同じサークルだった繋がりから再会し、手話を教えたり、筆談を交えながら交流を重ねていきます。
漫画家ユニットの森下Suuは、最初に読んだ『日々蝶々』でもまっすぐな恋愛が描かれていますが、『ゆびさきと恋々』はさらに拍車がかかったど相思相愛っぷりで、素敵だなぁと思います。
『正反対な君と僕』(阿賀沢紅茶)
元気いっぱいだけど周りの目を気にしてしまうギャルの鈴木は、ふだん物静かながら、人によって態度を変えたりせず自分の意見をきっぱり言う谷くんに片思い中だが、周りに好きなことがバレないように必死。
同級生の目撃談にもパニクって過剰な否定をしてしまい、それを谷くんに聞かれてしまいます。
私谷くんのこと好き
片思いしてんの
で昨日一緒に帰ろうって私が誘ったの
それって…何か…おかしい…?
立ち去る谷くんに呆然となり、初めて周りに気持ちを打ち明けた鈴木に「大変だスズキ!!行ってこい!!」と送り出す同級生たち。
なんだ自分の気持ちを言うことってこんな簡単なことだったんだ
皆の応援を背に受け、素直な気持ちを谷くんに伝えて、2人は付き合うことになります。1話目で。
誰にでも通じる万能カードなんて存在しないのに
「誰か」の為のルールや法則で頭がいっぱいでろくに会話も出来なくて
結局目の前の人ちゃんと見れてないじゃん
それまでの鈴木の絡み方が好きな人への態度に見えなかったことから周りにはツッコまれてしまい、ネットの情報に振り回されたりもありましたが、何かあったら会話を重ねて確認し、気持ちを伝えあう姿がとても素敵で、読んでるこちらもニコニコしてしまいます。
いいよハッキリしてなくても考えてる途中でも
「なんかモヤモヤしてる」なら「なんかモヤモヤしてる」って教えてよ
たとえそれが言語化できなくても、解決もできてなくてよくて、ただ今の気持ちをそのまま感じたり、伝えたりすればいいんだと教えられました。
『抱きしめてついでにキスも』(美森 青)
彼氏が8年おらず、もうすぐ30の誕生日を迎えるたま子は、近頃バイトに入った年下のイケメン竹田くんと戯れるのが唯一の楽しみとなっていましたが、とある日、残業中に偶然会った際、竹田くんの気になる人が自分だったことに気付かされます。
最初は年齢だの結婚だのを気にしていたたま子でしたが、両思いなのだからと2人はお試しで付き合うことに。
「さぁ…きいてみれば」
「え!?なんて!?」
「えー…そのまま?」
「自分のきもち言って相手のもきいて…みたいな」
竹田くんが友達にしていたアドバイスですが、このアドバイスを地で行っているようなところがあって、正直にぶっちゃけてくれるところが逆に信用できたり、お互いに言い合えるのがよかったりしていて、誰かに相談したところで結局、すべては本人に聞かないとわからないんだよなと改めて思いました。
『ひなたのブルー』(目黒あむ)
人と接するのが苦手で、幼なじみとしか話せなかった真面目な日向なるちゃんは「このままではダメだ、変わりたい」とひとり立ちを決意して離れた高校に入学したものの、友達ができず空回りの毎日。
そんな中、「適当に楽しく過ごしてください」とゆるゆるな挨拶をしていた生徒会長と出会ったことで、友達づくりの相談相手になってもらいます。
俺のおかげでうまくいったって言うけど行動したのは日向さんだし
そもそも十分ひとりでも努力してるんだから頼ればって思うし
今日全部うまくいかなくても一歩は踏みだせたんでしょ
だったらそんな考えすぎないでもっと適当に一歩ずつ進んでいけばいいでしょあーうんごめんキミ無理よね適当とか
要はもう少しだけ気楽にいけばってこと
んでうまくいかない時はここ来てのんびり空でも眺めたらいいんじゃない
なるは会長のアドバイスを素直に聞き、実践することで友達もできて、イベントなどにも積極的に参加して楽しい学校生活を送れるようになっていきます。
気にしいなところは変わらずのなるですが、「やはり私あまりにも頻繁にお邪魔しすぎていたでしょうか…」などと毎回確認するので、「はいドードー違うから」と制され、自己否定の暴走をせずに済んでいるし、何ごとにも一生懸命のなるを理解し、見守る優しい環境があったけぇです。
この『ひなたのブルー』は私の特に大好きなマンガの1つです。
心地のいい優しい世界に触れる時間を増やしたいです
これもまた1つの傾向な気もしますが、昔のマンガと比べて同級生など周りの人々もいじわるな子が減って、相手を尊重する優しい世界が増えたなぁと感じます。
昔読んできた少女マンガは友達がいない子なら最初はいじめられていたし、イケメンと仲良くしてれば取り巻き?に絡まれたり、嫌がらせを受ける場面は日常茶飯事だった印象があるんですよね。
でもこの『ひなたのブルー』や『正反対な君と僕』はクラスメイトなどの登場人物が基本あったかかったり、気軽だったりして、誰かがテンパってても気にしないし、ほかのイケメン崇拝マンガですら難癖つけてこないどころか、彼女と認めたうえでイベント参加の説得をお願いされたりなど、普通に接してる様子を見るようになってきました。
「…鈴木さんのイメージが下がったりしたら嫌だから」
「は…?何イメージ『下がる』ほど鈴木って『上』にいんの?ウケる」
「女子ってヤンキー好きよな」
「んなこたねーわ」
「美人な子ほど2個上ぐらいのヤンキーと付き合うじゃんアレ何で?」
「あんたの中学の思い出だろそれ」「あるあるみたいに言うな」
『正反対な君と僕』では、彼氏がいつの間にか鑑別所にぶちこまれていたとか、ヒエラルキー思想に縛られているクラスメイトとかも出てくるのですが、卑屈な偏見にツッコミは入るけど、全体的に「だからどうした」という感じで、まったく意に介されません。
鈴木はちゃんと谷自身を見ていて
周りは「鈴木の選択」だから否定しない
「誰かの評価」を気にしたりなんて誰も…
人間くささがしっかりある中で、多くが「いいんでない?」とか「そういうやつもいるよね~」くらいの精神なので、その軽さが絶妙で心地いいなぁとなります。
もちろん最初に書いたとおり、ふだんどういう作品を好んで、触れているかによるところは大きいと思います。
親が「現実世界だけで大変なのに、なんでわざわざドロドロなフィクション見なきゃいけないの」という考えだったこともあり、ただ相手を下げたり責め合うような作品は元よりあまり見なかったりします。
お互い両思いで素直に伝えれば秒で片づく話を、こじらせて延々悩むというのが必要な時期もあるとは思うのですが、今はもうその段階はいいかなということで、作品も現実も「ただただまっすぐ向き合ってさっさとポジティブな時間を過ごす」をメインとしていくべく、あったかいものをたくさん楽しみたいなぁと思います。