冨樫義博展 -PUZZLE-
@森アーツセンターギャラリー(東京都港区)
期間:2022.10.28〜2023.1.9
開館時間:10:00〜20:00
「冨樫義博展 -PUZZLE-」は今までで1番テンションが上がり、漫画を読み直さずにはいられない原画展でした
突然Twitterのアカウントができて話題となり、半年経った今もツイートには十万単位のいいねがつくという莫大な人気ぶりを見せているジャンプ漫画家・冨樫義博さんの原画展に行ってきました。
チケットは全日日時指定制で、事前の先着販売で売り切れている日時も平日含めて続出しており、現地では当日行って入れなかったように見える方もいたため、事前に購入しておいたほうが安パイそうです。
私自身は一般発売開始日の9月3日にe+で購入し、ファミマでの引き換えを済ませた状態で向かいました。
会場周辺の様子
日比谷線の六本木駅から六本木ヒルズへ直通の通路を進んでいると、さっそく冨樫義博展の広告が目に入ってきました。
メトロハットのエスカレーター横でも映像が流れています。
森美術館へ向かう道すがらの柱にも。
ゴンの髪って基本ベタ塗りだから、光が入ったこの描きおろしはなんだか新鮮ですね。
森美術館内のトイレがどこにあるのか覚えてなかったため、向かいにある森タワー1階入ってすぐのトイレに寄ったのですが、左手の鏡が通路にしか見えなくて、鏡に向かって歩こうとしてしまって恥ずかしかったです。笑
会場入場の様子
森美術館は2018年のジャンプ展以来、久しぶりに来ました。
足元にこんなカラフルなテープあったかなぁ…?と違和感を覚えたけど、足跡マークから察するにコロナ禍で増えたのでしょうか。
足もとの色分けで、同時開催されているベルばら展と動線が分けられていました。
ファミマで引き換えたチケットをインフォメーションに提示すると、QRコード付き入館券をもらえるので、そのQRチケットで入場していきます。
ちなみにこの階の左手にトイレがありました。会場内にはトイレがないので注意です。
右上(↗)がファミマのチケット、左上(↖)がQRチケット、銀色のが特典の来場記念証です。
QRチケットは入場時と最後のグッズショップで必要となり、来場者特典受け取りやショップでのグッズ購入でスタンプが押される仕様になっていました。
案内されるがままにエレベーターに乗って52階へ。
左手にはコラボカフェ「Pieces Cafe」も。
ぐるっと歩いて行くと入場待機列ができていました。
ちなみにこのエスカレーターの間にロッカーがあります。
荷物に収納できない飲食物や傘、キャリーケース等の大きな荷物などは持ち込めません。
ロッカーは100円玉が必要ですが、返ってくるので実質無料です。
コートが暑くなって初めてここのロッカーに荷物を預けたのですが、このロッカーが52階だと覚えていなくて降りてしまい、スタッフさんのお手を煩わせてしまいました。汗
ロッカーの鍵とQRチケットを見せ、ロッカーの鍵を持つ1人だけ取りに行かせてもらえました。
列に並んでいきます。
会場内はフォトスポット1か所を除いて撮影禁止のため、写真を撮れるのはここまで。
動画撮影はフォトスポットでも禁止でした。
芸人のバカリズムさんと声優の浪川大輔さんによる音声ガイドもありました。
入場時にはスマホをバッグにしまうように促され、会場内では鑑賞の流れを妨げるメモ行為、足もとの線を超えたり指を差したりなどの原画に近づくような行為はNGでした。
展示の感想
展示は『幽☆遊☆白書』エリア、『レベルE』エリア、『HUNTER×HUNTER』エリアの3つをを中心に構成されており、最後には冨樫さんのこれまでの経歴や著名人から寄せられた絵やコメントなどが紹介されていました。
私は全部見終えるのにだいたい3時間弱かかったと思います。
いようと思えばもっといられたけど、他にもお客さんがいっぱいいるからな…と切り上げたところもありましたね。それくらい、いくらでも見てられると思える原画展でした。
これまで何度か原画展というものは見てきましたが、1番衝撃が大きかったかもしれません。
「原画ってこんなにホワイト(修正)入っていないものだったっけ……?」
「え、これってトーン(色表現や柄のフィルム)じゃないの?全部描いてたの?」
「この青い枠はトーンの指示だよな……そしたらさっきのあれはやっぱりトーンだったの?」
「スクリーントーンって切って貼って削ってるんだよな…?形、複雑すぎん?」
「ぼやぁっとしている様子はトーンとかじゃなくてホワイトで表現してたのか」
「よく見る吹き出し、手描きだったんか…」
「デジタル取り入れ始めたのは最近のはずで、これ全部アナログなんだよな…」
「手描きの線だけで全部表現してるのヤバ……」
「これキャンパスだよな…油絵?こっちもコピックじゃなくて絵の具?画材も書いてくれ~」
元々画力を疑ってはいませんが、ふだんただ漫画読んでいるだけではスルーしてしまっていた数々の技術に驚き、まじまじと見入ってしまいました。
途中、奥さんでセーラームーン作者の武内直子印の原稿を使っていたりするのも面白かったですね。
絵描きでない私にとって漫画は話がメインで、読む時ってやっぱりストーリーを追うのが1番になってしまいますし、特に冨樫さんの漫画は設定や展開が複雑で、理解しようと気を取られてしまうのですが、その冨樫さんお得意の設定説明の後ろに描かれた海が「トーンじゃなくて自力で描いてないかこれは?」と気づいてゾクッとしました。
今じゃジャンプ本誌を読むことはなくなって、スマホの電子書籍で読んでいるので、細かい点まで見るのは限界がありますが、今までトーンだろうと思い込んでいたものが手描きだったかもと思うと読み返したくなって、「これどうやって描いているんだろう?」「うわ、ここもめちゃくちゃ描き込んでる!」と新鮮な気持ちで楽しめています。
冨樫さんの場合は私が読み始めたオークション編ごろから長年なじみのある、ネーム(下書き)のような絵のインパクトがどうしても大きくなってしまいがちだったのですが、帰ってきてから改めて読み直すと、今まで気に留めていなかった絵の細かさがどんどん目に入ってきますね。
子どもの頃はなんで未完成な状態で載っているんだろう?と思っていましたが、大人になって週刊連載のエグさを感じますし、ギリギリの身体で描き続けていることがわかった今だからこそ、1コマ1コマのこだわりがより伝わってくる気がします。
加筆中。こうなった。 pic.twitter.com/Z9roK3UwvB
— 冨樫義博 (@Un4v5s8bgsVk9Xp) October 17, 2022
ちなみに描き込み具合というのはこのような感じ。
グリッチノイズをファイルで物理的に表現しているドラマの画像を見た時と似たような感覚ですね。笑
この画像を見てほとんどの人が『またグリッチノイズか、流行ってんなー』と思うかもしれないが、よく見ると画像処理じゃなくてアナログな方法で撮影されていた - Togetter
3ページにもまたぐ暗黒大陸の見開き絵は実際に見ると点描画のようなもので、細かさが本当にエグくて、漫画で読んだ時でも衝撃ものだったのに、再び唖然としてしまいました。
ホワイトは修正のためよりも絵の表現の一環が目立って見えて、クロロ団長のレクイエムのシーンの夜景が印象的でした。
クロロとヒソカの戦闘は漫画を読んでいる時になんか違和感があったのですが、トーンを使う量が圧倒的に増えていたからか、と今回の展示で気づきました。
『HUNTER×HUNTER』はトーンを極力使用しないというテーマが冨樫さんの中であるなかで、こうやって全体を振り返るとより異質で目立ちますね。
個人的にはコムギとメルエムの原画が1番グッと惹き込まれました。2人の関係性が好きだったので、涙腺が危なかったです。これ以上見ていると泣いちゃうからと、逆にじっくり見られませんでした。笑
最新では王位継承編が進んでいますが、登場人物の一覧表が掲示されていて、これだけは一般公開してくれないかな……って思っちゃいました。
読んでいる方はわかってもらえるんじゃないかと思うのですが、第14王子までいて、それぞれ世話役や護衛・監視がついていて、どの王妃の子か、そもそも十二支んとかビヨンド陣営など新しい存在が一気に登場したり、各陣営のメンバー入れ替えがあったりで、相関図を把握するのがかなり大変なので、あの一覧があったら話を理解しやすくなりそうだなぁ…と、マジで手元に置いて読みたいです。笑
ちなみにこの登場人物の多さは『キャプテン翼』超えを意識しているのだとか…好奇心や冒険心はさすがですが、頭が追いつくのが大変ですw
設定といえば、「六柱図」で表現される念能力の系統ですが、キッチリ6タイプに分かれているわけではなく○○系寄りとか中間があったり、同じ系統の中でも「極」「天賦」「秀」「優」と修練度があることがわかり、コムギが強化系の「天賦」だったことはかなりビックリしました。一般人じゃなかったのかw
著名人から寄せられた色紙の中で、呪術廻戦の芥見さんは「らしい」人選だなぁと感じ、ジョジョの荒木さんはそこ描くんだぁ…と思いつつも色が出ていてさすがでした。
最後にグッズショップがあって退場する動線になっていたのですが、グッズを購入しない人がどうやって出ればいいのかがわかりにくかったです。
ショップにはQRチケットを見せて、来場記念証とカゴを受け取って入るのですが、カゴの返却場所は見当たらず、スタッフさんに声をかけてカゴを返して出ることができました。
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52階からの景色を楽しみつつ…
自分の経験値が上がって、どれが何の建物なのかがわかるのが増えて、より景色を見るのが楽しく感じました。新国立競技場など景色もずいぶん変わった気がします。
ヘリポートがこんな所にあるのは記憶になかったなぁ~。
冨樫義博展のコラボカフェには行列ができていました。
このようなコラボメニューが楽しめるようです。
気づけば3時間くらい経っていたのですっかりヘトヘト&お腹もペコペコ、六本木ヒルズでごはん食べる所を探す元気も残ってないなぁ…と思ってすぐ入れそうだったTHE MOONへ。
景色をゆっくり楽しみながら休むことができました。
こちらのお店ではベルばらコラボのアフタヌーンティーが用意されていました。
水はおいしくなかったです。
アンガス牛のステーキ&フリットってガチでこれだけなんだ…w場所代かなぁ…。
帰り際の様子、左(←)が冨樫義博展コラボカフェの列、右(→)が降りるエレベーターの列です。
来場記念証
公式ショップでQRチケットを見せ、来場記念証を受け取りました。
こちらの面が全部で3種類あって、私はレベルEのものでした。
冨樫さんのデビュー作が野球漫画だったのも、冨樫義博という名前が本名なのも、鳥留夜母屋(とりとめよもや)というペンネームがあったことも全部初めて知りました。笑
当時の手書きの履歴書みたいなものまで展示されていて貴重すぎるし、あぁ漫画家になりたての頃から変わらないんだなぁ…って思いましたw