身近なものほど見落としがち。しえるです。
転職でめくるめく変わっていく環境についていくだけで精一杯だった私にとって正直なところ、SDGsや環境問題なんて仕事のために覚えるくらいで、これまで気にする余裕はまったくありませんでした。
そもそもの話、私はただのナチュラルデザイン好きで、しいて言うならポイ捨てはせず、ごみはごみ箱にちゃんと入れるくらいという、環境問題についてだいぶ気にしていないほうだったと思いますが、自分の快適や健康を追求しているうちに、避けては通れない話だと感じるように変わっていきました。
(しいたけ占いで「ここ最近は健康大事と意識している」とズバリ言い当てられましたw)
そんな私がプラスチックについて認識していることといえば、次のことくらいでした。
・石油からできている
・「ポリエチレン」「ポリプロピレン」「塩ビ」「アクリル樹脂」など種類がある
・海に残留したプラごみで生物が苦しんでいる
しかし、本を読んでいるうちに、身近に利用してきたプラスチックには知らない世界が想像以上にたくさんあったことを知りました。
そしてこれを書いているさなか、6月4日に「プラスチック資源循環促進法」が成立しました。
今回は、現時点でのプラスチックの問題点など学んだことをまとめてみました。
思っている以上にプラスチックによるダメージが大きかった件。【マイクロプラスチックや有害性の話】
- 思っている以上にプラスチックによるダメージが大きかった件。【マイクロプラスチックや有害性の話】
プラスチックについて考えるようになったきっかけ
コロナ禍でおうち環境を整えることに力を入れていた一環で、ごみ箱をどうするか検討していたとき、ごみ箱のあり方は家の中での動線に加えて、ごみの収集業者や処分先にとってどうするのが作業しやすいんだろう?という発想になりました。
そう考えてみると「そういえば私は捨てたごみがどうなるのかよく知らないな?」と思って1冊の本を読んでみました。
なんとなくの流れはイメージどおりでしたが、汚れた資源ごみの対応や細かい仕分けを手作業で行っていることなど色々驚きがありました。
そして「あれ?プラスチックって思ってたよりリサイクルされていなくない?」となりました。
そこで次はプラスチックについて知ろうと別の本を読むことに。
この本がとにかく知らなかったことだらけで、プラスチックの基礎や歴史を学ぶうえでたいへん勉強になりました。
「第二次世界大戦は、プラスチックを制した連合軍が勝った」というのは、初めての視点でした。
プラスチックには2種類ある
プラスチックには「熱可塑性(ねつかそせい)プラスチック」と「熱硬化性プラスチック」という2種類があるのだそうです。
熱可塑性プラスチック
熱可塑性プラスチックは、チョコのように溶かして成形し直すことができます。
ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンなどが該当します。
熱硬化性プラスチック
一方、熱硬化性プラスチックは、クッキーのように一度焼き上げたら終わりで、成形し直すことができません。
クッキーになったらもう、小麦粉や卵には戻らないですからね。
つまり、こちらのプラスチックはリサイクルができないということになります。
種類としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などが当てはまります。
各地にあふれるマイクロプラスチックの存在
プラスチックは海の至る所にある。
汚染が集中している場所などどこにもないのだ。
「巨大な太平洋ごみ海域」(太平洋ごみベルト)という言葉が知られるようになり、「これを取り除けばよい」というごみの島があるようなイメージがあるが、そのような島は存在などしていない。
プラスチックはごみは猛烈な風や海流で水中に沈み、細かくなる。
プラスチック片はどんどん砕けて小さくなるが、分子は変わらぬままだ。
マイクロプラスチックとは一般的に、直径5mm未満に粉砕されたプラスチックの破片(粒子)のことを指します。
私は結構最近まで、このマイクロプラスチックのことを知りませんでした。
海が身近になく、ふだんあまり魚介を食べない私にとっては、海の生きものたちがプラごみに苦しんでいるってニュースを聞いたことはあっても、レジ袋をそのまま飲み込んでしまったとか、漁網に引っかかってしまったとかそういうイメージだったのです。
細かい破片に砕けて、人間がつくり出す技術ではまだ集めることのできない、悪名高い「マイクロプラスチック」になるだけなのだ。
ポイ捨てしなければいいとかそういうレベルの話ではなかったことを知り、とても驚きました。
知らない間にそんなに摂取してるの?
平均すると人は週に約5gのプラスチックを摂取している。
お店で買ってきたペットボトルの水やプラスチック容器に入ったレタス、ラップされたきゅうり、そしてレストランで食べる魚などと一緒に、あなたが”食べている”マイクロプラスチックをすべて足すとこれだけになる。
プラスチックは、私たちの命がかかっている食物連鎖そのものに入り込んでいる。
私たちは年に10万個以上のマイクロプラスチックを摂取している。
マイクロプラスチックは、私たちが食べる魚の中にもある。
胃や肝臓に有毒なプラスチックを有している魚は、既に25%を超えている。人類の半分が日々の食生活を海産物に頼っていることを考えれば、健康を脅かす最悪な事態がいつ起きてもおかしくない。私たち人間の肝臓にも思いもよらなかったペースでプラスチックが蓄積しつつある。
そして知らず知らずのうちに、大量のマイクロプラスチックを食べているのだそうです。
100年単位で残るプラスチックを自分の体内に取り込んでいるって、なかなかゾッとします。
動物には排泄機能があるけど、体内にどれだけ残留し、影響を与えるかはまだ解明されていません。
身近な日用品から発生しているマイクロプラスチック
メラミンスポンジを使うとシャリシャリ削れていくと思いますが、これもまさにマイクロプラスチックなのだそうです。
あ、あのとき発生していた削りかすがマイクロプラスチックか…と思ったら怖くなりました。
「塵も積もれば山となる」とは言いますが、さらさら粒子のアレが大量に100年単位で海に漂い続けるって、想像以上に深刻です。
最近の調査から、北極でさえ、雪に混じって空からマイクロプラスチックが降っていることが分かった。
研究の示すところによると、大気中の微粒子の3~7%が、路上を走行している何百万台もの車のタイヤから生じた塵だという。
実は車の問題は排気ガスやガソリンだけじゃなかったという…電気自動車や自転車にまで及ぶ不可避案件です。
ほかにも合成繊維でできた服の洗濯、歯磨きや洗顔フォームからもプラスチック繊維やマイクロビーズが流出していくのだそうです。
紙だからといって無関係ではありません
カナダの研究者は最近、プラスチック素材のバッグに入ったティーバッグ1つをお湯に浸すと、約116億個のマイクロプラスチックと31億個の「ナノプラスチック」がカップ内に放出されると発表した。
粒子が小さければ小さいほど、簡単に体内の臓器に入り込める。
紙製のティーバッグは破れやすいため、業界は数年前にプラスチック素材の層をティーバッグに重ねることになった。
つまり、業界はティーバッグには気を配るが、消費者のことは気にしていないということだ。
ふだん利用しているティーバッグ、大量の微粒プラスチックが放出しているのだそうです。
さらにはナイロンなどだけでなく紙製のものからも出ているという話ですから驚きでした。
たしかに、紙コップやミルクカートン、耐油紙といった水や油に強い紙というものは、フィルム材のコーティングなどがされているわけですから、そりゃそうかと納得しました。
欧州連合(EU)は、2021年までに使い捨てプラスチック製品の禁止を施行する。
興味深いことに、EUはプラスチックコーティングした紙は例外とした。
カナダも最近、同じような禁止令を実施する意思を表明しており、おそらく同様の例外扱いを認めるだろう。
これは製紙業界のロビー活動の成功であり、環境にとっての成功ではない。
プラ禁止を進めている地域でも、コーティングに使われているプラは例外扱いされている現状があるそうです。
エコとうたわれているものがエコじゃない件
洗剤を使わずに済むから環境にやさしいと売り出されているアクリルたわしも、実はマイクロプラスチックを生み出しています。
天然素材でつくられたセルローススポンジに、環境配慮された洗剤を使う方が実はダメージが少ないのだそうです。
プラスチックの有害性について
次に読んだ本では、プラスチックの有害性などを知っていきました。
旦那さんの体調不良を機に、プラスチック製品に含まれる内分泌攪乱物質(環境ホルモン)などの存在を知り、生まれる赤ちゃんのために身のまわりの持ち物を見直していった経験がまとめられています。
内分泌かく乱物質ってなんですか?(公益財団法人 日本学校保健会)
個人的によりわかりやすくて、まとめやすかった以下の本を中心にこの記事を書いていますが、各材質ごとの特徴や危険性は「プラスチック・フリー生活」の方がわかりやすく表でまとめられています。
元祖プラスチック「ベークライト」の原材料
1907年、ベルギー生まれの米国人の化学者レオ・ベークランドが「ベークライト」を開発した。
合成素材でできた最初のプラスチックだ。
ベークライトには、ホルムアルデヒド、アスベスト、極めて有毒なポリマーが含まれている。
今日ではベークライトは「サイレントキラー」(無言の殺人者)と考えられ、取り除く必要がある。
そして、禁止後何十年も経った今でも、特別な処理施設に持ち込まれている。
実際のところ、現代のプラスチックに伴う危険性はほとんど分かっていない。
プラスチック業界には、戦略的優位性をもたらす添加剤の使用に関する機密事項が山のようにある。
100年以上前にレオ・ベークランドが行った貢献と同様、イノベーションがもたらす長期的な影響についてのどんな懸念よりも、今日の使い勝手の方が大事なのだ。
ベークライトは別名フェノール樹脂と呼ばれ、フェノールとホルムアルデヒドを原料につくられた世界初の人工プラスチックです。
添加剤にアスベストが使われているものもあり、それが鍋の取っ手などに使われていたそうです。
現代ではホルムアルデヒドは有害物質として制限が定められており、アスベストに至っては原則禁止されていて、フェノールからも脱却の動きが強まっています。
家電製品も早くからアスベスト汚染 - 藤森照幸的「心」(アスベスト被害者石州街道わび住い)
プラスチックの添加剤について考えたことありませんでした
プラスチックには、柔らかくするための可塑剤や寿命を延ばすための紫外線吸収剤など、ほかの化学添加剤も含まれている。プラスチック業界は、フッ素や塩素や臭素といったハロゲン、リン酸エステル、アンモニウムやホウ素や硫黄の化合物、それから重金属の水銀やスズ、鉛、さらにはヒ素さえ使用している。
含有量はたいてい1%未満であり、情報開示の必要がない。しかしこのことが根本的に意味しているのは、「私たちは、健康リスクに関して何の知識も理解もないままに、化学物質の”カクテル”を消費している」ということだ。
プラスチック製造の際、さまざまな添加剤が使用されているそうです。
化粧品なら全成分表示が定められているため、防腐剤や紫外線吸収剤など何が使われているかを確認することができますし、実際私は宇津木さんの本を読んで以来、成分表示を見て買う商品を決めています。
しかし、プラスチック製品の品質表示には原料樹脂が書かれているだけで、その過程で何が使われているかを知るよしがほとんどありません。
プラスチックの多くには、使い勝手を良くするために毒性が強い添加剤が使われている。
例えば、プラスチックのおもちゃには、子供たちの安全性を考えて難燃剤が含まれている場合がある。
柔らかくするために可塑剤としてフタル酸エステルが入っているプラスチックもある。
プラスチックの寿命を延ばすための紫外線吸収剤もある。
ビスフェノールAは、長い法廷闘争の後に禁止されたが、いまだに海を漂う古いプラスチックの中に存在している。
こうした添加剤の多くは企業秘密として認められ、情報を開示する必要がない。
つまり、どのような健康リスクがあるのか、何の知識も理解もなしに、私たちは化学物質の”カクテル”を消費しているのだ。
BPAフリーってたまに見かけるけど…
「BPA(ビスフェノールA)」というのは、ポリカーボネートやエポキシ樹脂の原料、缶詰の内側やレシートなど感熱紙のコーティングなどに使われているものです。
生殖機能障害や二型糖尿病、甲状腺疾患など人体に影響をおよぼす危険性があるとされています。
フランスでは、内分泌かく乱物質として食品に関わるものは厳しく禁止されていますが、アメリカでは警告の明記、日本では制限といった程度にとどまっているようです。
危険性については以前から取り上げられているため、「BPAフリー」 と売り出している商品が多く存在していますが、実は「BPA」の代替物として、同じく環境ホルモンであると考えられている「BSP(ビスフェノールS)」が使われていている可能性もあるのだそうです。
「BPAフリー」だからといって安心というわけではなさそうですね。
ちなみに日本人の「BPS」摂取量は世界中でもトップクラスなのだそうです。
アメリカでは「BPA」「BPS」を使わない「フェノールフリー」のレシートへ転換の動きが促進され、日本でもリコーが「フェノールフリー」の感熱紙を発売することが決まっています。
安全性を高めた感熱紙を2021年春に国内で発売 | リコーグループ 企業・IR | リコー
個人的には電子レシートが一般的になってほしいですけどね…。
親和していない添加剤、漏れ出す有害化学物質、呼び寄せる石油
問題は、このような添加剤のほとんどが不活性であることだ。
プラスチックと科学的な結びつきはないということである。
プラスチックはガスを放出して分解する。
その時に、こうした化学物質は容易に環境(私たちが吸い込む空気、床のほこり、私たちが飲む水)の中に移動し、そこで蓄積する。
有毒化学物質は、環境中のあらゆる場所で見つかっているあのマイクロプラスチックにも含まれている。
有毒な難燃剤は、人間の母乳や魚から見つかることもある。こうした化学物質は劣化するようにつくられていないため、その量が激増していることが研究から分かっている。いくつかの報告書によると、有毒物質の濃度は2~5年ごとに倍増しているという。
プラスチックは簡単にいえば、炭素や水素といった分子が手を繋ぎ合って存在しています。
けど添加剤はきちんと手を握れていないから、すぐどっか行っちゃうよってことですね。
そしてムダに頑丈なので、よそ行ってばらまいちゃうよ!って話のようです。
さらにプラスチックは、石油に汚染物質が吸着していくため、海水中の有害な化学物質も集めて濃縮していくのだそうです。
それを食べた魚を人間が食べているということはつまり…。
危ないものは避けたいですよねという話
プラスチック業界は、難燃剤の使用を規制しようとするあらゆる試みに抵抗し、政治家に解決不可能な二者択一を突き付ける。
「火事で死ぬのとがんで死ぬのと、どっちがいいのか?」と。
意識と責任をもって設計と生産を始めれば、こんなジレンマは存在しない。
時に長期的な手に負えない問題は後回しにされがちです。
プラスチックにはたくさんの有毒成分が含まれていることが分かっている。
まだ分かっていないのは、そうした有害物質を摂取することが私たちの健康にどのような影響を及ぼすか、である。
現在の科学では、まだ極小の粒子を調べることができないからだ。
現時点で分かっている有毒性もありますが、まだまだ解明されていないこともあります。
元祖プラスチックのベークライトも、後から有害性についてわかっていったように、現在使っているプラスチックも未知数です。
ただ「明らかに問題は起きているし、わかっているだけでも危険性のリスクが高く、不透明な部分の多いものは深入りせず、避けた方がいいですよね」というのが「プラスチック・フリー生活」「海と地域を蘇らせる プラスチック「革命」」ともに共通した考え方でした。
実はほとんどリサイクルできてない問題
日本では1995年に制定、2008年に一部改正された「容器包装リサイクル法」というものがあります。
しかし実態は容器包装の定義はまちまちでわかりにくく、プラ容器の多くは燃やされているというものでした。
ただでさえ容器包装プラスチックしか対象となっておらず、製品プラスチックには規制がないうえに、リサイクルされていると思っていた容器包装も実は多くが燃やされているだけってなかなか衝撃でした。
日本のプラスチックごみのリサイクルの内訳
日本のプラスチックごみのリサイクルの内訳は、本によると以下のとおりなのだそうです。
「熱回収」とも訳される「サーマルリサイクル」は、プラスチックごみを燃やして、そのときに発生したエネルギーを温水プールや火力発電などに利用するというもの。
技術で抑えられるようにはなっているようですが、燃やすのでCO2やダイオキシンの発生は生じます。
つまり再資源化しているのは「マテリアルリサイクル」「ケミカルリサイクル」の27.8%に過ぎないということですね。
ちなみに「マテリアルリサイクル」が一般的なイメージのリサイクルですが、この方法だとどうしても「ダウンサイクル」といって品質は劣化してしまうので、永続的ではないのだそうです。
そして「ケミカルリサイクル」というのは1度分子に分解してから再生成するので、何度でも再生できるものですが、大きなコストがかかるのでまだまだ実用的ではないことを4.4%という数字が物語っています。
生分解性やバイオマスプラスチックだからいいという話ではない
環境によいエコ製品使っていれば、扱いは気にしなくても大丈夫って話はありません。
ちゃんと分解するためには、各素材ごとに条件があるし、それなりに時間も必要とします。
生分解性プラスチック
多くの商品が、その包材が「生分解性」だと誇らしげに謳っている。
その意味するところは、その素材は土中で微生物の作用で分解されるということだ。
しかし、その同じ素材が水中に入ってしまったら、何百年もの間分解されない。
「生分解性」の意味するところは、「土壌中のバクテリアの力で、または、工業的な堆肥化設備の中で、分子が分解されるように設計されている」ということでしかない。
100%生分解性の製品であったとしても、多くはあくまで土中の微生物が分解するだけの話で、環境が変われば分解はされません。
バイオマスプラスチック
バイオマスは、再生可能な生物由来のものを指します。
植物が原料だから、地上の二酸化炭素の増減に影響を持たない「カーボンニュートラル」性質でよいとされていますが、いまいちピンと来ませんでした…。
もちろん石油由来じゃないということに意味はあると思うんですけど、そもそも石油由来のプラスチックや添加剤と混合も多く、生分解性を持たないものもあります。
何%配合という時点で、行く末は石油由来のプラスチックとなんら変わりないと感じます。
バイオプラスチック
生分解性プラスチック・バイオマスプラスチックの総称をバイオプラスチックと呼びます。
たとえばトウモロコシなどを原料につくられるポリ乳酸からできたバイオプラスチックは、最終的には二酸化炭素と水になるそうです。
しかし生分解されるということは長持ちしないということも意味します。
また環境によって生息する微生物が異なるため、分解速度も変わってきますし、ポリ乳酸は高温多湿で分解されますが、土や水の中では分解されにくい性質を持ちます。
酸化型生分解性プラスチック
「酸化型生分解性プラスチック」は太陽の光や熱で分解されるというものですが、添加剤で細分化しているにすぎず、生分解性ではないのでマイクロプラスチックとしての長期残留が懸念されています。
自治体によって異なるプラスチックごみの扱い
- 世田谷区では「ペットボトル」のみでプラスチック類は可燃ごみ
- 港区では「ペットボトル」「資源プラスチック」
- さいたま市では「ペットボトル」「食品包装プラスチック」
- 横浜市では「ペットボトル」「プラスチック製容器包装」
- 千葉市で通常回収は「ペットボトル」のみ、「製品プラスチックの拠点回収(10品目のPP・PE製品)」
- 名古屋市では「ペットボトル」「プラスチック製容器包装」
- 大阪市では「ペットボトル」「容器包装プラスチック」
- 福岡市では「ペットボトル」のみでプラスチック類は燃えるごみ
このように、大きな都市でも分別の仕方はばらけてきます。
容器包装以外のプラに取り組んでいる港区のようなところもあれば、そもそもプラごみを分別していないところもありますね。
ゼロ・ウェイスト(はじめからごみを出さないようにする取り組み)に力を入れている徳島・上勝町では13種類45分別しており、プラスチックだけでも「ペットボトル」「白トレイ」「プラスチック製容器包装」「プラスチック製のキャップ」「洗剤詰替パウチ」「歯ブラシ」「その他のプラスチック」と分別されているようです。
分別収集する自治体の負担が大きすぎている
容器包装ごみを分別収集するために、不純物を取り除き、運びやすいように圧縮して一定量保管する必要があります。
それを全国自治体で年間約2,500億円かけて対応したのに対し、生み出す側の企業が負担した委託金はたった約380億円のみにすぎなかったそうです。
自治体、容器ごみ分別費2500億円 10年度推計 企業と格差: 日本経済新聞
どういうことかというと現在、容器包装を製造・利用・販売している企業は、リサイクル取りまとめる協会に委託金支払うという仕組みになっています。
消費者がごみを分別し、自治体が収集・選別してリサイクル業者に引き渡します。
リサイクル業者には協会からリサイクル費用支払われるのですが、企業は製品全体ではなくリサイクルされた量に対してしか支払い義務がありません。
中には関係しているのに負担金を支払ってすらいない企業も相当数存在するそうです。
つまり企業は生み出した製品全体の責任をそこまでリアルに背負っていないし、あぶれた分はリサイクルもされず、その処分費はただのごみとして自治体が負っている、というのが現状なのだそうです。
大手ブランドはそのようなことはもうやめたと主張するが、これまでに添加してきたマイクロプラスチックは今や海洋中に散らばっている。
汚染を取り除くには多額の費用がかかる。
この最悪の事態を引き起こした企業が、真っ先にクリーンアップの責任を負うべきである。
それが真の拡大生産者責任だ。
散らかすのをやめるだけでは、とても十分とはいえない。
先述の上勝町では、ライオンや花王なども関わっていますが、あくまで一部拠点の話でしかなさそうです。
花王 | ユニリーバ・ジャパン、花王が協働回収プログラム 「みんなでボトルリサイクルプロジェクト」を開始
プラスチック製品、ならびにプラ容器包装を使用した製品を生産・販売する企業は、リサイクルしやすい製品を企画・設計する。製品が廃棄されたあとは、回収して再生し、再び市場に送り出す。
消費者は、使い捨て生活を見直すと共に、プラごみはリサイクルしやすいよう、汚れを取り除いて分別する。
負担が大きく自治体に偏っていますが、どこかに無理が押しつけられたものはいずれ破綻してしまうというものです。
生産者ならびに消費者ともに意識を変えていく必要がありますね。
ふだん無料で回収してもらえるから忘れてしまいがちですが、ごみ処理は自治体のお仕事として、税金からまかなわれています。
粗大ごみを出すとき、「なんで捨てるのにお金を払わなきゃいけないんだよ」と思ってしまうこともありますが、そもそも処分するのにはお金や労力がかかるものだということを忘れてはいけないですね。
今の仕組みのままじゃリサイクルはほぼ無理ゲーじゃん
材質の違うプラスチックは、一緒にリサイクルできない。
簡単にいえば、空っぽの容器を一つ間違ったリサイクルボックスに入れるだけで、すべてのリサイクルの努力が水泡に帰すということだ。
現状で、リサイクルが本当にうまくいっているのは、高密度ポリエチレン(HDPE)とポリプロピレン(PP)の2種類だけだ。
この2種類の再生プラにはバージン材にほぼ負けない力がある。
また、理論的にはリサイクルできるが経済的ではなく、プラスチックの材質を表す評判の悪い三角形の識別マークが付いているというのにリサイクルをされていないプラスチックもある。
多くのプラスチック製品は、異なる種類のプラスチックや金属、さらには紙まで含んだ様々な層でできていて、分離不可能な混ざりものになっている。
エンジニアは、大量生産しやすくするために複数のものをくっ付けるのは得意だが、くっ付けたものをもう一度バラバラに戻す方法は誰も知らないのだ。
そもそもプラスチックを再資源化するにしても、同一素材のものを多量に集める必要があるのだそうです。
プラスチックといっても「ポリプロピレン」「ポリエチレン」「ポリエステル」などさまざまな種類の素材が存在しているわけで、そりゃそうですよね。
私は仕事で知りましたが、よっぽど興味をもっていなきゃ「ハイデン(HDPE)」「ローデン(LDPE)」とか知らなくてもおかしくないと思います。
これらをひとえにプラスチックごみとしてまとめて出している時点で無理があるってものだと感じました。
容器包装とか製品プラという考え方にこだわらず、純粋に材質で「ポリエチレンごみ」「ポリプロピレンごみ」と分けるんじゃダメなの?そしたら品質表示見て分別するだけですし、たった1つのルールとして「汚れていたら洗うこと」だけ設ければいいだけの話では…と思ってしまいますが…。
複合品捨てても純粋に単一品の回収率は今より上がりそうだし、その方がリサイクルもしやすそうですけどね。
まぁ実際にやるとしたらいろいろ障害はあるでしょうし、これは実情を理解していない人間の単なるぼやきにすぎませんのであしからず。
現在の外国の取り組み事情
「図解でわかる 14歳からのプラスチックと環境問題」で紹介されていた海外の事例の一部です。
レジ袋の禁止や課税・有料化
2002年、バングラデシュは世界で初めてポリ袋を禁止した国となった。
いつも決まったようにこの国を襲う壊滅的な洪水の最中に、ポリ袋が排水設備を詰まらせていると分かったことを受けてだ。
それ以降、中国やインド、ジョージア、コロンビアのほか、ルワンダ、ジンバブエをはじめとする30ほどのアフリカ諸国など、世界で140カ国以上がプラスチックへの課税や部分的な禁止を施行している。
韓国は2019年、先進国として初めて、ほとんどのポリ袋を禁止する法律を施行した。
世界は既に60カ国以上でレジ袋に禁止を含めた規制が導入されている
アフリカやオーストラリアなどは、ごみ処理場の整備が不十分なことから、そもそものごみのもとをつくらないという判断のよう。
プレシャスプラスチック
プラごみを集めて手加工し、オシャレなカラフルタイルや小物などにアップサイクル(価値を高めるリサイクル)する取り組みです。
オランダ人が個人で始めたもので、方法はすべて無料公開しており、賛同した人たちが自由に参入できるようになっています。
ドイツのデポジット制ペットボトル回収
ドイツではペットボトルを購入するときに、少額の預かり金を支払います。
これは回収機に空のボトルを返却すると、預かり金が戻ってくる仕組みになっており、みんなお金は戻ってきてほしいからポイ捨てしないというわけですね。
アルミのごみには価値がある。
そのリサイクルで生計を立てている人々がいるのだ。
それに対して、プラスチックごみには全く価値がない。
だから、プラスチックは環境や海洋、そして私たちの命と暮らしを汚染しているのだ。
プラスチック問題のソリューションは、プラスチックごみに価値を見いだすことから始めなければならない。
まさに、ごみに価値を創出した好例ですね。
廃プラで高速道路建設
インドやイギリスなどでは、プラごみや廃タイヤなどを使って道路をつくっているのだそうです。
食べられるプラスチック!?
インドネシアのEvowareがつくった代替製品は海藻でつくられていて、食べたり温水で溶かしたりすることができるのだそうです。
どんなものなのか実際に見てみたいですね。
プラゼロは難しいけど割合を減らすことはできる
「病院が、使い捨てのプラスチック製品を使わずに、問題なく衛生管理をする」というのは想像しづらい。
プラスチック抜きに、軽量化で燃費を改善した自動車や航空機を考えられるだろうか。
プラスチックには、優れた性能があるのだ。
問題は、たいていプラスチック製品を極めて短い間だけ使った後に捨ててしまい、広い範囲にわたって汚染を引き起こしているという点だ。
毎日の暮らしの中でせいぜい1時間もあれば飲み終わって不要になるというのに、分解するまでに何百年もかかるような水のペットボトルを使うことを、一体どうして許せたのだろうか。
世界全体で、毎秒2万本のペットボトルが新たに生産されている。
私たちが20分ぐらいしか使わない包装材が分解されるまでには、400年かかるというのだ。
元々、木という素材が好きだったり、節約のためにマイボトルやエコバッグを使う人ではありましたが、プラスチック製品がここまでリスクの高いものだと知ったことで、この先の考えを改めなくてはいけないなと思いました。
正直プラスチックは便利なものが多く、ゼロにすることはほぼ不可能なくらい身のまわりにいっぱいあります。
しかし、引き換えの代償があまりにも大きすぎると感じ、そのとき買おうとしていたものや定番の購入品は一旦保留して、全部イチから検討し直したりしました。
とりあえず自分の健康のため、少しずつ割合を変えていきたいという考えです。
今回の記事はあくまで入門編的なものとして、知ったうえでどう生活に反映させていくかや、ほかに学んだことについては今後別に書いていければと考えています。
参考文献
ごみ処分の基礎を知るのにピッタリです。
プラスチックの基礎を学ぶのにとても適した本です。
どうやってつくられているのか、仕組みや歴史を一気に知ることができます。
各プラスチックの材質ごとにまとめられた特徴がわかりやすく、日々の生活でプラスチックを使わずに済ませる方法がまとめられています。
あくまでゼロにすることは難しいという現実のもと、少しずつできることをしていこうという考え方がベースとなっています。
起業家視点で「ビジネスができること」や「現在の取り組み」について書かれています。
個人的に1番考え方が似ていて、すでに現在進行形で現実的に取り組んでいる方がおられることが嬉しかったし、とてもタメになる本でした。