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【無知の知】書籍「売り渡される食の安全」を読んで得た知識と今後の留意点についてのメモ。


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たまに自分の無知がつらくなるときがあります。しえるです。

 

私は日頃から、なんでそんなに「日本製」が全面的に手放しでもてはやされるのだろう?と思っていました。

もちろん日本の几帳面で、少しでもよりよくしていこうとする改良精神は本当に素晴らしいし、技術にハッとさせられることも多いです。

 

でもそもそも今の日本の仕組みや価値観、報道のあり方的に、そんな手放しで信頼できるものかな?という疑念が頭の片隅にありました。

これは作り手以前の、国や社会の構造上の問題です。

 

と言うのもずいぶん前から、化粧品などに入る成分が世界中で危険を訴えられていても、日本では問題視されずにそこら中で売られている現状を認知していたのがあったから。

日本はそういう部分において動きが鈍いから、世界の動きに目を向けていた方がいいと思って、これまで意識してきました。

健康のために食事を見直している中で、当たり前の存在がじつは食べない方がいいものがあることを知ったり、子ども時代に親しんだものはどこかの施策によるものが含まれるということも少しずつ学んでいます。

ciel-myworld.hatenablog.com

そんな中、民主党政権時代に農林水産相を務めていた山田正彦さんの著書「売り渡される食の安全」(2019年発刊)を読んで、想像以上の根深さに絶句してしまいました。

正直3か月しか農相を務めていなかったこの方のことはよく存じ上げません。

内容についてもまだまだ知ったばかりで、反対派の声などを見ずに自分の知識と照合しただけの「勉強中のノート」状態ですが、まずは知ることが大事だと思うので、この記事では本を基に、私が気になった点をまとめてみました。

無知の知】書籍「売り渡される食の安全」を読んで得た知識と今後の留意点についてのメモ。

よく見かけるようになった「遺伝子組み換えでない」

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最近、自分が買うものに「遺伝子組み換えでない」「NON GMO」と表記されているものが増えてきていました。

愛用している個人輸入サイトのiHerbでは「NON GMO」でフィルタをかけられるようになっています。

ciel-myworld.hatenablog.comしかし私はこの「遺伝子組み換え」の何が問題なのかを具体的に知らず、この本を読むきっかけの1つとなりました。

「遺伝子組み換え」とは?

通常、親から子、子から孫へと受け継がれながら、遺伝子は変化を遂げていきます。

これまで古来より行われてきた、稲同士を人の手でかけ合わせて、おいしいお米を作り出す品質改良や、ロバと馬から生まれたラバのような異種交配もまた遺伝子変化です。

 

「遺伝子組み換え」もそんな遺伝子変化の1つで、受粉や受精ではなく人為的に、目的に適した遺伝子を取り出しほかに組み込むことを指します。

何が問題なのか?

この本の中では「交配や品種改良は自然界で起こりうる一方で、遺伝子組み換えは決して起こりえない」と書かれていましたが、「大豆の遺伝子に、まったく別の生物の遺伝子が組み込まれている」のは異種交配とやっていることに変わりないのでは?と思うので、個人的にこの本だけでは反論要素が弱く、組み換え技術に対するリスクはあまり伝わってきませんでした。

 

私は最大の問題点だと思ったのはこの点です。

除草剤への耐性をもつモンサントの遺伝子組み換え大豆は、同社の看板商品である除草剤ラウンドアップの生産工場の排水溝から偶然発見された、ラウンドアップに耐性をもつ微生物の遺伝子を大豆に組み込んで作り出された。

農作業で大変なのが雑草取り、つまり除草。

モンサントという企業が1974年にラウンドアップという除草剤を販売、1996年には遺伝子を組み換えて除草剤ラウンドアップに耐性を持つ大豆の開発に成功します。

つまり除草剤で雑草を枯らし、遺伝子組み換えした大豆だけが育ちますよとセット販売したのが始まりでした。

www.yasudasetsuko.com2009年には、アメリカ環境医学会(AAEM)が以下の緊急声明を出しています。

「遺伝子組み換え食品と健康被害との間には、偶然を超えた関連性が示されている。

特にアレルギーや免疫機能、妊娠や出産に関する生理学的、遺伝学的な分野で深刻な健康への脅威に至るものである」

chikyumura.org

殺虫力をもつトウモロコシ 

2002年、アイオワ州の5つの農場で飼育の雌豚の8割が不妊、もしくは疑似妊娠という異常事態が発生。

出生率急落の原因を追究した結果、5つの農場では共通してBtコーンという害虫抵抗性の遺伝子組み換えトウモロコシがエサとして与えられていたと判明します。

 

このBtコーンを検査すると、カビの一種であるフザリウム菌が高レベルで検出されました。

5つの農場のうち1軒でエサを通常のトウモロコシに替えて様子を見たところ、症状が劇的に改善されたそうです。

 

この遺伝子組み換えトウモロコシ:Btコーンは、殺虫性のタンパク質を生成し、作物の葉や茎だけでなく、花粉や土中の根に至るすべてへ効力を及ぼすBt毒素という細菌がかけ合わせられ、害虫が食べただけで死んでしまうために、殺虫剤不要でコストが減るという宣伝で売り出されていました。

トウモロコシ以外にもジャガイモ、綿などで実用化されているそうです。

最近の研究では、アレルギー症状や自己免疫疾患、化学物質過敏症、あるいは糖尿病などの慢性疾患など万病のもとになるとされる、リーキーガット症候群との関連性が指摘されている。

フランスの研究グループは2012年に、2年間モンサントの遺伝子組み換えトウモロコシをエサとして与え続けたラットの雌には乳がんの腫瘍が形成、雄には重度の腎臓障害が起こったり、頭と同じくらいの巨大な腫瘍ができたと発表されました。

しかし、この論文は激しい批判を浴びて撤回することになり、その過程には元モンサント生物学者が学術誌の編集に携わって、決定に関与していたそうです。

www.nouminren.ne.jp

自然の適応力とのいたちごっこ

2000年の段階でラウンドアップを散布しても枯れない雑草が発見されるなど、5年と経たないうちに強力な除草剤へ適応し、繁殖力も生育力も高いスーパー雑草と呼ばれる存在が出てきたそうです。

そこでさらに強い除草剤が必要だとして、ラウンドアップ以前の主力商品であった2,4-Dやジカンバといった除草剤を掛け合わせたより強力なラウンドアップと、その耐性をもつ遺伝子組み換え大豆が新たに作り出されセットで売り出されるように。

 

ただ、自然界の摂理にのっとれば、新しい除草剤にも耐性をもった、スーパー雑草を超える雑草はやがては現れますし、そうなったらさらに強い毒性をもった除草剤で対抗するしかなくなってしまいます。

いたちごっこが繰り返されていくことになるが、2,4-Dやジカンバに関してはアメリカ軍がベトナム戦争で散布し、後にさまざまな健康被害を引き起こしたとされる、悪名高き枯葉剤の成分だったことが大きな批判を招いた。

まかれた除草剤は雑草だけでなく、土壌に染み込み地下水に、また雨で流されて川に流れ込んでしまうなど、深刻な土壌汚染が懸念されました。

さらには遺伝子組み換え作物に免疫をもつスーパー昆虫まで現れ始め、より強力な問題が生まれていきます。

tocana.jp

このように自然から外れて無理が生じるとパワーバランスが崩れ、問題が肥大化し、労力・お金・時間といったコスト消費がかさんでいくもので、いたる分野で見られる話です。

wedge.ismedia.jp

自然の繁殖力に組み込まれていく遺伝子組み換え

植物である以上は、遺伝子組み換え作物も自然界で自己増殖していく。

もともと病気や害虫に強く、なおかつ収穫量の増加を見込んで作り出されたがゆえに、伝統的な在来種を駆逐して繁殖していく。

風で飛ばされた遺伝子組み換え作物の趣旨を人間の手で食い止めることはほぼ不可能だ。

風や虫によって運ばれたり、輸送中にこぼれ落ちたものが「なんでこんなところに!?」というところで自生し始めたり、遺伝子組み換えのものだと知らずに育ててしまったり…現在進行形で直面している問題となっています。

wired.jp

これはもう農薬使ってる時点で遺伝子組み換えは起こりうるという話ですね。

ラウンドアップと多国籍アグリ企業・モンサントの行く末

悪名が知れ渡ったモンサントの名称を隠すべく、2018年6月にドイツの農薬会社:バイエルに買収されたばかりでしたが、直後の2018年8月、末期の悪性リンパ腫と診断されたカリフォルニア州在住の男性が、がんの原因は除草剤ラウンドアップにあるとしてモンサントを訴えた裁判で約320億円の支払いを命じる評決が全会一致でされました。

www.afpbb.com

これまでがんが引き起こす可能性を認識しながら、ゴーストライトで正当性を証明する論文を発表させたり、検査結果をでっちあげたり、不利な論文は撤回に追い込まれたり、政治家への献金や科学者への贈賄、公的研究機関の買収など、さまざまな隠ぺい行為が機密文書を介して明るみになっているようです。

まさにアメリカの海外ドラマや映画「エリン・ブロコビッチ」などで見てきたやつ…!

広まるグリホサートの規制に対し…

2015年に国際がん研究機関(IARC)がグリホサートを「ヒトに対しておそらく発がん性がある」とするグループ2Aのカテゴリー指定を発表。

www.riasbt.or.jp

2019年1月、フランスの食品環境労働衛生安全庁(ANSES) はラウンドアップとその関連商品の個人への販売を全面的禁止と発表。

news.yahoo.co.jp

カナダ・ブラジル・アルゼンチン・中東などでもグリホサートの使用禁止や規制が行われ、韓国でもラウンドアップの登録はされたものの使用は一切禁止されるなど、多くの国がラウンドアップやその主成分であるグリホサートを禁止、もしくは数年のうちに禁止する動きを見せています。

世界の流れから日本だけが取り残されている現状を目の当たりにするたびに、アメリカに滞在していた18年9月に、ゼンさんから聞いた言葉を思い出す。

アメリカとEUでは、モンサントは終わりました」

バイエルは、モンサントを買収した直後に、ジョンソンさんの裁判で敗訴となる評決をくだされた。

当然ながら株主総会で、モンサントを子会社化した是非が問われる。

グリホサートと発がん性の関連性を、「カリフォルニアにおける裁判結果に、いっさいの科学的な根拠はない」と強気に乗り切ったバイエルだったが、業績が悪化の一途をたどり、株価が18年の年初に比べて実に5割も下落した状況を受けて、急遽方針を転換している。

バイエルは、モンサントを買収した農業部門の1万2,000人などをリストラ。

www.nikkei.com

2019年5月には1万3,000件超の訴訟を抱え、アメリカやフランスなどで敗訴。

2018年11月末時点でバイエルが支払う賠償額の総額は1兆円を超える可能性があると報道されました。

www.nikkei.com

また、モンサントを買収したバイエルだけでなく、ベトナム戦争の悪名高き枯葉剤ジカンバのダウ・デュポンも減収減益、スイスに本社を置く世界最大の農薬販売会社シンジェンタも規模の割に安値で中国化工集団に買収されるなど、ほかの多国籍アグリ企業も苦境に立たされているようです。

日本でのグリホサート 

しかし日本では、ラウンドアップもグリホサート製品も普通にそこら中で販売されていて、むしろJAが積極的に推奨し、通販サイトでは★4や5がつけられているような状況です。

mooseum3.com

2017年12月には規制どころか、厚生労働省によって残留基準が緩和されていますし、実際に大手製粉メーカーの小麦製品から検出もされています。

news.livedoor.com

著者の山田さんは、国会議員23名含む28人の毛髪をフランスで検査してもらったところ、グリホサートは19人から検出されたそうです。

アメリカのスーパー事情】1人の主婦によって生まれた変化

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アメリカでは「NON GMO」「ORGANIC」のどちらかのラベルが欠けている商品は売れにくくなっているそうです。

これは富裕層の地域だけでなく、一般層や黒人街でも同じような光景なのだとか。

 

このようにアメリカで遺伝子組み換え表示が当たり前になった背景には、1人の主婦の存在がありました。

 

全米規模で展開した市民運動を主導した主婦のゼンさんは、息子のアナフィラキシーショックを機に原因を調べ始めるように。

日々の食卓から遺伝子組み換え食品をすべて除いた結果、息子3人のアレルギー症状は短期間で改善されていきました。

そしてアメリカで流通する加工食品の85%に遺伝子組み換え食品が含まれている事実を知って愕然としたそうです。

この現状を母親同士で共有したいという思いから、市民団体「マムズ・アクロス・アメリカ」の設立につながっていきました。

kokocara.pal-system.co.jp

さらに客観的な証拠が必要だと思い立ったゼンさんは、自身と3人の子どもたちの尿検査を行った。

検出対象としたのは除草剤ラウンドアップの主成分グリホサートだ。

ラウンドアップへの耐性をもつ遺伝子組み換え作物を食べる際に、散布された除草剤も一緒に摂取しているのではないか、という仮説に基づいた検査は、思いがけない結果となった。

長男と三男からは検出されなかったが、なぜか次男のボダイ君からだけ検出されたのだ。

遺伝子組み換え食品を食卓から除いてから、すでに1年近くたっていたため、長男と三男の結果は予想通りだったが、なぜ次男だけグリホサートが検出されたのだろうか。それも高い数値で。

ボダイ君とほかの兄弟の違いを考えたとき、長男と三男がもつグルテンへのアレルギーがないため、パンやパスタなど小麦を原料とした食品を食べさせていたことに気がついた。

アメリカでは遺伝子組み換え小麦の商業栽培は認可されていないが、収穫直前の乾燥目的でラウンドアップを噴霧する、プレハーベストという方法が導入されてきたそうです。 

つまりパンやパスタの原材料となった小麦には散布されたグリホサートが残留しており、それによってボダイ君はリーキーガット症候群を発症してしまっていたのです。

そこでゼンさんは農薬や化学肥料を使わない、有機栽培で育てられたオーガニック食品だけに厳選し、腸内の善玉菌を増やすために発酵食品を摂取させることで、無事ボダイ君の健康も取り戻すことができました。 

 

モンサント側はグリホサートは体内に残留しないとする研究結果が公表されていたものの、会のメンバー内で母乳中におけるグリホサートの有無の検査を実施したところ、数人の母親から最大で166マイクログラム検出されたことから、リコールキャンペーンなどに取り組んでいきます。

ゼンさんの100ドル購買アクション

オーガニック食品や非遺伝子組み換え食品を月に100ドル、日本円にして約1万1,000円ずつ買っていきませんか

ゼンさんは会員に呼びかけ、アメリカ中を回り、100ドル運動も浸透させていきます。

行く先々や電話で、スーパーマーケットに「オーガニック食品や非遺伝子組み換え食品は売っていないのでしょうか?」と商品の有無、または置いていない理由を尋ねてまわり、販売側に需要の高まりを気づいてもらうための草の根運動もしていったそうです。

 

これって以前トラウデン直美さんが「環境に配慮した商品ですか?」と店員さんに尋ねたのと同じですよね。

「意識が高い」というよりはただの「危機感」であり、「無知の知」や「需要」に意識を向けて気がついてもらうためには、こうした一歩を踏み出す人は必要不可欠で、むしろ賞賛されていいくらいだと思います。

ここで言う「環境」には、「地球」だけでなく「労働環境」も含まれており、ブラック企業にお金を払うわけにはいかないという意識も擁しています。

www.huffingtonpost.jp

売り上げが伸びると判断されれば売り場が設けられ、やがて拡大されていく。

そこへ民間企業や各種団体が自主的に取り組んでいた「NON GMO」や「ORGANIC」などのラベルが注目され、マムズ・アクロス・アメリカの運動とリンクしていったのだろう。

地道な訴えの積み重ねが、不安を募らせてきた母親たちの間に共感の輪を広げ、会員数が150万人を超える活況を生み出した。

「NON GMO

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遺伝子組み換え作物(Genetically Modifed Organisms)の頭文字をとった略語「GMO」に否定の「NON」がつくことで、非遺伝子組み換え作物であることが示されています。

「ORGANIC」

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有機栽培を示すオーガニックの主な条件は以下のとおりなのだそう。

「科学的に合成された肥料および農薬を使用しない」

「農薬が他の農地から飛来しないような措置をとる」

「種まき、もしくは植え付ける2年以上前から化学肥料や農薬を使用していない土壌で栽培」

 「Animal Welfare」

 牛や豚、鶏などの精肉類やベーコン、ソーセージなどの食肉加工品には、飼育過程でストレスをできるだけすくなくした方法で育てられた証明となる「Animal Welfare(アニマルウェルフェア)」のラベルが貼られているのだそうです。

このラベルの存在は知りませんでした。

スーパーで探してみてるけど、見つけられないでいます。

予防にかけるか、医療にかけるか

オーガニック食品となると、日本ではどうしても割高になる。

アメリカでも状況は変わらない。

毎日の食費を抑えたいのは多くの人が考えることだろうし、同じ商品だったら、どうしても安い方を選んでしまう。

ゼンさんがその点をいとわないのはなぜなのだろうか。

返ってきた答えに私は納得せざるを得なかった。

「オーガニック食品や非遺伝子組み換え食品を食べ始める前は、父と夫、3人の子どもたち、そして私の6人で年間に1万1,000ドル(約120万円)以上の医療費がかかっていました。

それがいまでは900ドル(約10万円)で済みます。

食事に高いお金をかけても、医療費に使うと思えば安いものだと思っています」

この考え方はこれまで自分が書いてきた考えと一致しており、共感しかありません。 

ciel-myworld.hatenablog.com

堀江貴文さんが予防の必要性に触れているのもよく目にしますが、食事内容の見直しもこの「予防」の一環だと私は考えます。

www.itmedia.co.jp

ワクチンからも検出されたグリホサート

私がさらに驚いたのは以下の文章でした。

たとえば17年にはジフテリア、インフルエンザ、B型肝炎、肺炎球菌、はしか・おたふく風邪・風疹の新三種混合の5つのワクチンからもグリホサートが検出されたことを公表。

ワクチンには効能を安定させるためのゼラチンが含まれていて、ゼラチンは豚のへその緒から生成される。しかし、豚の餌として遺伝子組み換えトウモロコシが使われていたことで、へその緒にグリホサートが蓄積するに至ったことをマムズ・アクロス・アメリカが検査を依頼したミズーリ州セントルイスの研究機関が突き止めた。 

豚のへその緒に蓄積するということは、人間にも起こりうることを意味する。

もし妊娠している女性が摂取すれば、へその緒を介して胎児にも深刻な影響を与えかねない。

ワクチンにまで関係してくるとは頭が回りませんでした。

インフルエンザのワクチン打たない人なので、ワクチンはご無沙汰していますが、今はコロナもあるのでさすがに看過できません。 

世界各地の取り組み

イタリアの有機栽培

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ローマやフィレンツェ市内のスーパーマーケットなどを見て回ったが、ここでも陳列されていた商品のほとんどがオーガニック食品、非遺伝子組み換え食品だった。

イタリアでも有機栽培・非遺伝子組み換えが広がりつつあるようです。

欧州の有機農業大国イタリアを訪ねて

トスカーナ地方ではいま、福岡正信さんが提唱した自然農法が盛んに行われています」 と思いがけない事実を告げられた。

福岡さんが広めた自然農法は農薬を使わず、畑も耕さず、肥料も与えず、雑草も取らないのに豊かな収穫をもたらす点で独創的であり、先進的だった。

なんとイタリアのトスカーナでは日本で自然農法を学んだ知識が生かされているのだそうです。

私は今回初めて福岡さんの存在を初めて知りましたが、以前紹介した中洞さんの自然放牧と考え方が似通っている気がします。 

ciel-myworld.hatenablog.com

オーガニック大国ロシア

「ロシアはすべての国民へオーガニック食品を生産および提供するために、十分な空間と手段、そして肥沃な土地をもっている。

アメリカ人が遺伝子組み換え作物を栽培したいのならば、彼ら自身がそれを食べればいい」

ロシアは2015年の世論調査で国民の82%が「遺伝子組み換え食品は有害である」と回答するほどで、全面的禁止の法案も可決成立しているそうです。

www.jetro.go.jp

有機栽培された小麦や大豆を日本へ輸出するプランも描いていたらしいですが、これはコロナによってどうやら情勢が変わっていそうです。

www.agrinews.co.jp

両極端な中国

約13億9,000万人と世界最大の人口を擁する中国は、国民を扶養するためにも食料自給率を上げることに腐心してきた歴史をもつ。

中国は収穫量を増やす目的もあって1980年代から遺伝子組み換え技術に取り組んできたものの、2013年をピークに栽培面積は減少しているのだそう。

遺伝子組み換え作物の研究は奨励し、公的な投資も惜しまない一方で栽培や輸入および流通は制限するという、二律背反にも映る政策を中国は長く取り続けてきた。

華輝1号と呼ばれる遺伝子組み換え米は2009年には農業農村省の品質証明書が発行されるも、いまだに生産や流通は許可されていないといった一面もあれば、飼料用の遺伝子組み換え大豆やトウモロコシなど5品種の輸入が解禁されるという側面もある中国。

同時に有機農業も急成長を遂げており、2016年にはアメリカの総取組面積を抜いて約228万ヘクタールに到達しているのだそうです。

wired.jp

韓国のオーガニック給食 

19年4月に人口約80万人の清州市を訪れた際に、私は大きな衝撃を受けた。

同市内にある合計180の小学校、中学校、そして高校に通う約11万人の児童や生徒の全員に、オーガニック食材で作られた給食が毎日無償で提供されていたからだ。

学校給食の無償化・オーガニック化は「あと数年もすれば、ほぼすべての小・中・高校で実現できます」と農林畜産食品省の課長が語るほど進んでおり、未就学児や妊婦たちへのオーガニック食材を用いた安全安心な食事機会の提供まで見据えているのだそう。

すでに一部の幼稚園や保育園では取り組み始めており、こちらも数年以内の実現できるとのこと。

hanna.main.jp

韓国のスーパーマーケットでも、アメリカ同様に「ORGANIC」「NON GMO」「Animal Welfare」ラベルが貼られ、オーガニック食品が展開されているそうです。

韓国でも厳しい検査をクリアしなければいけない。

土壌だけでも日本の10倍となる300種類もの検査があり、しかも基準は年々厳しくなっている。

しかし、高額な検査費用を市町村が負担しており、認定されなかった場合のみ自己負担となる。

日本で有機栽培の認定を得るには検査に4~5万円、しかも毎年調査を受けなくてはならず、この負担は広がらない要因の1つとなっています。 

有機栽培で育てた食品は、全国の小学校、中学校、高校で給食となる。

販売先が確定しているから、農家も完全有機化へ移行しようと必死になる。

こうした図式のもとで、韓国では全耕地面積に占める有機栽培の取組面積が5%を占めるようになった。

一方、日本は、わずか0.5%だ。

厳しい条件をクリアした先には販売先があり、 信頼を得られ、検査費用も負担しなくていいというメリットが用意されているという上手いシステムがつくられていますね。

日本の現状

日本では行政府の長が率先して遺伝子組み換え食品の安全性を謳い、ゲノム編集食品も無条件で開放しようとしている。

有機栽培に対するメディアの意識も低く、国民にも違いが浸透していかない。

世界から離されている、というよりも世界の流れに嬉々として逆行しているのだ。

著者が嘆いてしまうのも納得の日本の現状の章に、私は言葉を失ってしまいました。 

ズブズブな関係的なものがあるのはわかりますが、さすがに「世界の歴史からの学びとは…?」と呆れてしまいます。

気になる点が満載だったのですが、中でも勉強になった点と「どうなの?」と思った点をピックアップしてまとめてみます。

米の種もみはどうしているの?

日本には1,000種類以上の銘柄、286品種ものお米があるそうです。

全国各地で1年かけて土作り、田植え、収穫していくサイクルが繰り返されています。

 

これらの種もみはどこから来ているのか?

 

原原種を生産するのは各都道府県の農業試験場

前年栽培の中から優れた形質の株を保存し、普通の稲作同様に春から栽培を開始していきます。

 

異株が紛れ込まれないよう細心の注意を払って育てられ、発芽試験をクリアした原原種をもとに、今度は原種としての生産に移っていきます。

こちらでもまた通常の稲作同様育てられていき、収穫までの間に10回前後の抜き取り作業を行うなど、異株に対する注意が払われ続けます。

 

そして収穫された原種は翌年、採種農家のもとにわたって、ここではじめて一般の稲作農家に販売される種子の生産がスタート。

採種農家は種の採取を専門とする農家で、収穫した米が種として一般農家へ販売されていきます。

ここでもまた雑草や異株に神経を尖らせ、2度の圃場(ほじょう)審査や発芽試験など合計5度にわたる検査をクリアしてようやく出荷ができ、ここまでに3年の月日がかかっています。

 

同じ種は使い続けても劣化するし、翌年に育てないとまたそれも劣化していくそうです。

また、その土地の気候など特色に合わせて育っていくので、各地域ごとに育てていかないといけないという面もあります。

 

これだけの手間ひまがかかるので、一般の稲作農家は自分のところで米を収穫するので手一杯であり、種を育てるのは難しいことから9割の稲作農家さんは、公共の種子を購入して栽培しているとのことでした。

種子法の成り立ち

日本には種子法という法律があり、主要農作物である米、麦、大豆の品質を保ちつつ、優良な種子を安定的に生産し、公共の財産として供給してくことは、国の果たすべき役割と定められていました。

栽培用の種子を採取するためにまく種子となる「原種」と、原種の大もとである「原原種」を栽培・生産し、一般の稲作農家へ供給していくことを各都道府県に義務づけていることだ。

現在の日本では、原種や原原種の栽培・生産は、農業試験場をはじめとする都道府県の公的試験研究機関が行っており、予算は国が担っている。

国が予算をあてる根拠も種子法だ。

つまり、交番やごみ収集の無料などと同様に、税金で種子が安価で安定して供給されているということですよね。

厳格な販売統制が行われていた時代には、政府に決められていた販路に背いて密かに取り引きされていたお米もあり、「闇米」と呼ばれた。
戦後は実際に配給される食糧だけでは生きていけないほど、食糧難がさらに深刻化していたのだ。

違法者を取り締まる立場として違法行為を犯すことはできない、という理由で闇米を拒否していた裁判官が栄養失調となり、33歳の若さで餓死するという事件が起きた。47年10月のことだ。

www.shueisha.co.jp

種子法の背景には戦後の食糧不足があり、国民と食糧や種子を守るためにつくられたものでした。

先に書いたような手間を国が負担してくれることによって、農家さんが安心してお米の生産などに専念できるということですね。

国の種と民間企業の種とでは、圧倒的に価格差があることも本の中では示されています。

突然の種子法廃止

そんな中、2018年4月にひっそりと種子法を廃止する法律案が閣議決定されます。

このころメディアは森友学園問題一色だったころで、農政に関わってきた著者にとっても寝耳に水だったようです。

種子法が民間の参入を阻害?

政府は廃止理由をこのように説明したそうです。

  1. 種子生産者の技術が向上して種子の品質が安定しているため、都道府県に対して種子の生産および供給を一律に義務づける必要性が低下している。
  2. 多様なニーズに対応するためにも、民間の力を借りる必要がある。
  3. 種子法が存在するために都道府県と民間企業の競争条件が対等ではなく、公的機関による開発品種がほとんどを占めている。

1は、9割の農家が公共の種子を活用していることから、素人目に見ても明らかに事実に即していません。

また、民間企業は20年以上も前から参入しており、第1次参入組にはJA全農キリンビール三井化学住友化学といった大手の名前が連なっています。

さすがにこれは理由がとってつけたものでしかなさすぎるように感じます。

原種、原原種の種子育成義務がなくなった

試験場が育て続けたいと思っても、国からの予算がなくなったわけですから、研究や栽培による経費がまかなえなくなり、種子の自家栽培は前述のように膨大な労力と時間がかかるので現実的に厳しい状態です。

農業競争力強化支援法の閣議決定

安倍政権は種子法を廃止する法律案だけでなく、種子法に代わる新たな法律となる「農業競争力強化支援法」を、規制改革推進会議の提言にしたがって閣議決定した。

この法律で支援することによって、農家に低価格の農業資材を供給し、流通面の効率化・経営の健全化を後押しできると政府は説明しているそうです。

多種多様性によって守られるリスクの分散

「農業資材であってその銘柄が著しく多数であるため銘柄ごとのその生産の規模が小さくその生産を行う事業者の生産性が低いものについて、地方公共団体は農業者団体が行う当該農業資材の銘柄の数の増加と関連する基準の見直しその他の当該農業資材の銘柄の集約の取組を促進すること」(第8条)

一見合理的かもしれませんが、自然災害などのリスクと隣り合わせの農業において、どの地域にどんな災害が発生するか、どの品種が病気や災害に耐えられるかはわからないですから、未知のリスクに耐えうる品種がどれかなど判断できないと思います。

誰が病気になるかなんてわからないのに、地球環境に負担だから動物の種類絞ろうぜって言っているのに近いと感じます。

いろんな種類を育てる業者が多種多様、各地に散らばっているからこそリスクも利益も分散できるわけであり、種類の集約などという考え方はあくまで、一農家の中ですればいい考え方ではないでしょうか?

多種な品種が存在するからこそ、予期せぬ気候変動や突然のウイルスの感染、病害虫の大量発生などから、生きていくうえで欠かせない米を救うことができる。

日本は地域ごとに土壌や気候の多様性に富んでいる。特定のエリアでしか栽培されていない品種は、地域振興を進めていくうえでの看板をも担ってきた。

くり返しになるが種子法によって、米作りが公的な制度や予算で支えられる状況が維持されてきたからにほかならない。

種子法の廃止や農業競争力強化支援法によって、民間企業の進出がさらに促されればどうなるか。

株式会社では利益を生み出すことが何より優先される。コストや労力をかけて数多くの品種を維持するよりは、同一品種を広域的かつ効果的に生産していくだろう。政府が掲げる品種数の集約が進めば、リスクが高まることは自明の理である。

www.nippon.com

一瞬のメリットのためには大きすぎる負担 

「おいしいお米が多めに収穫でき、できた分は全部買い取ってもらえる」

メリットのように感じますが、多くの企業の目的は基本的に「自社の為に効率よく稼ぐこと」であり、商談できちんとメリットとデメリットを正しく把握しないと、不利な契約や負担を背負うことになってしまいます。

 

三井化学のみつひかり栽培に切り替えた農家は、以下のような憂き目にあっているよう。

みつひかりの栽培においては稲の茎や葉の発育を促進させる化学肥料を、通常の固定種栽培より3割から4割も多く使用する必要があるという。

化学肥料が環境に与える負荷が大きく、土壌が劣化していったのか、3年目以降は収量が次第に落ちていったという。農地も地力が衰えていくので、翌年からやめると語っていた。

みつひかりの収穫米の買取価格に関しては、その都度、相談しながら決める約束になっているという。

みつひかりを栽培している加賀市内の別の農家によれば、最初の年の買取価格が1俵あたり1万2,000円だった。2年目は1万円に下がり、さらに9,000円へ下がった3年目をもって栽培を断念したという。

丈夫なゆえに別の問題もあった。

刈り取りの際にコンバインの刃が傷んでしまい、交換することを余儀なくされたという。同じことを何軒かの農家から聞いた。なかにはコンバインの修理費用に20万円も要してしまい、次の年からみつひかりの栽培をやめたという農家もいた。

www.nouminren.ne.jp

日本モンサントのとねのめぐみを育てる農家が交わしたA4判1枚の契約書もなかなかのもの。

種子は毎年購入することになっていて、自家採種はもちろんのこと、研究などを目的としていても分析や品種改良、あるいは複製などをすることは固く禁じられていた。違反した場合には、契約した農家が「日本モンサントに生じた損害を弁償しなければならない」とあった。

自然界では、どんなことが起こるかわからない。稲の花は自家受粉するが、風などでほかの品種の雄しべが運ばれ、受粉してしまう可能性も十分考えられる。

それが発覚した場合は裁判を起こされ、気の遠くなるような賠償金を請求されかねない。

きちんと契約書に目を通したのかとその農家に尋ねると、こんな言葉を返してきた。

「いや、ほとんど読まずにサインした」

彼に限らず、一般の人たちが契約書を隅々まで読むことなどまれだろう。

契約書って怖いんですよね、マジで。読むのめんどくさいのもわかりますけど。 

それでも自分がどうにかできる範囲か、必要以上に重い責任を背負わされてないか確認するのは本当に大事だと思います。

 

こういうとき、法律勉強している人は強いと実感します。

法律を勉強しているのは弁護士とかだけでなく、どこまでが法的にセーフか?どんな法律があれば欲望が叶えられるか?など、どん欲な存在も隙を突くためによくよく考えていたりするものです。

「日本の種を取り巻く状況」 

世界各地でのモンサント法案 

これまで多国籍アグリ企業は世界各地で、自家採種を禁止させたうえで、自分たちの種を買うよう独占状態に仕向ける動きをしてきており、各国でそれぞれの闘いがあり、退けてきた歴史があります。 

wired.jp

カナダでは1998年、モンサントと契約する近隣農家の畑から風で飛んできたモンサント品種の花粉が、自然交配してしまった遺伝子組み換えナタネに対し、ライセンス料払わず勝手に栽培して特許権を侵害されたとして告訴されました。

損害賠償の支払いは免除されたものの、敗訴という結果になっています。

www.uplink.co.jp

メキシコでは先住民によって栽培されてきたトウモロコシを自家採種で受け継いできたが、1994年の北米自由貿易協定により関税が撤廃されたのを機に、モンサントを始めとした多国籍アグリ企業がメキシコから輸入したトウモロコシを使って特許や育種登録を申請して主流を独占支配し、メキシコの農家が栽培するには使用料が発生するまでになったのだそうです。

さらには自家採種は犯罪行為として原則禁止とされ、政府登録の種子購入義務の法案制定の動きまで出たが、「モンサント法案」と呼ばれるようになった先の過ちを繰り返してはならないと猛反対にあい、廃案となりました。

このモンサント法案は、コロンビア、グアテマラ、チリ、ベネズエラコスタリカといったラテンアメリカ諸国でも次々上程され、コロンビアとグアテマラにおいては可決・成立までしてしまったそうです。

その手はさらにアフリカ、そしてアジアへと進んでいます。

 

シンプルに考えて、自分の家に飛んできた種が勝手に育ったものに対して、「それオレんところの種だからお金払え」 って横暴にしか聞こえないのですが、それが国ぐるみで法律となってしまうってなかなかにヤバいですし、残念ながら現実に起こっていることのようです。

販売者が対象のようですが、自分に置き換えて考えたら「豆苗を水につけて再利用していたらロイヤリティ払え」というレベルの話であり、「育ててできたものをネット販売したら損害賠償を請求された」なんてことも決して考えすぎの話ではない気がします。

日本各地での取り組み

種子法の廃止に危機感を覚え、一部地域では種子条例を制定したり、独自に種を保存する農業ジーンバンクを創設したりしています。

www.jacom.or.jp広島県の農業ジーンバンクは - 日本特産農作物種苗協会

まずは知ることから…

以前、NHKで「未来王」という環境問題に関するクイズ番組が放送されていました。

参加者は10~20代の若者が多く、自分ごととして真剣に考えている人たちが多い印象でした。

 

番組の優勝者は、MCであるロンブー敦さんに対して「地球を守るためにロンブー淳にやってほしいこと」のプレゼン対決によって決められたのですが、そこでは涼くんという20歳ぐらいの男の子の「僕はまだ環境問題のことについてあまり詳しくないけれど、皆で一緒に知って、皆で解決していきましょう」的なプレゼンが支持されて優勝していました。

 

社会で起こっている問題に対して、この涼くんの言葉がすべてだなぁと思うしえるでした。

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