福岡市博物館
住所:福岡県福岡市早良区百道浜3-1-1
TEL:092-845-5011
営業時間:9:30~17:30 休館日:月曜日
アクセス:市営地下鉄 天神駅から徒歩約7分
※2021年4月現在の情報です。最新情報は公式サイト等をご確認ください。
【旧石器時代から現代まで】常に先行して外国と接してきた福岡の歴史の充実した展示が魅力
福岡ドームや福岡タワーなどが集まるシーサイドももちエリアにある福岡市博物館。
こちらは私が初めて、日本の歴史を自分ごととして興味を持てるきっかけになった場所の1つです。
(学校の授業は穴埋めの記憶ゲーだったので、あまり好きじゃありませんでした。)
常設展示では「FUKUOKA アジアに生きた都市と人びと」と称して、福岡市の歴史・民俗文化が旧石器時代から現代まで事細かに紹介されているのですが、これがまたすごいボリュームなんです。
なのに市の博物館なので良心的すぎる価格でまた驚きます。
最も外国との地理的距離が近い福岡は、元寇や交易など、日本のどこよりも早く朝鮮半島やユーラシア大陸と接して発展してきた土地であり、日本の歴史が詰まっていると言っても過言でないくらい見どころたっぷりです。
学生の頃、この博物館を見てから教科書を読んでいたら、もしかしたら見える世界は全然違ったかもしれません。
常設展示室・企画展示室内の写真撮影はOKなのですが「個人利用に限り」なので、今日は文章比率やや高めでお送りします。
1989年博覧会会場としてできた福岡市博物館
この福岡市博物館の建物や敷地は、以前あった福岡市立歴史資料館が手狭になったため、1989年に開かれたアジア太平洋博覧会に合わせ、会場内のテーマ館としてオープンしました。
つまり、シーサイドももちエリアはまだ30年くらいの歴史しかないということですね。
この博覧会の後、正式に博物館として生まれ変わりました。
目玉は国宝「金印」
福岡市博物館に展示されている目玉と言えばやはり、教科書で見たことのある「金印」でしょう。
「漢委奴国王」が刻まれたこの金印は、漢(中国)の皇帝が倭の奴国(日本)の王に授けられたと考えられている国宝で、江戸時代、博多湾に浮かぶ志賀島で農作業中に偶然発見されたそうです。
旧石器時代からの進化をリアルに感じられる
福岡に人が住みつき始めたのは約26,000年前の氷河期からで、その頃はまだ本州と陸続きだったそうです。
旧石器時代、縄文時代、弥生時代…と文明が発達していく様子をリアルに感じられ、この時代にはもうこんな精巧なものがつくれたの!?と驚きの連続でした。
甕棺墓(かめかんぼ)と呼ばれる、亡くなった人を埋葬するために土器でつくられた弥生時代の棺(ひつぎ)にはよく見るとシカが描かれているのですが、弥生時代の棒人間感あふれた絵がなんだか愛らしくて、ほっこりしてしまいます。
今後いずれ書く予定ですが、甕棺墓に関しては比較的ご近所にある吉野ヶ里遺跡もあわせて訪れると、より一層理解が深まると思います。
その後、平安時代の外交施設「鴻臚館(こうろかん)」、900年前の日本初チャイナタウン「唐房(とうぼう)」、鎌倉時代にモンゴル帝国からの襲来を受けた「元寇(げんこう)」などを経て、戦国時代に突入し、やがて福岡藩へとなっていく様子が展示から窺えます。
近代福岡展示の充実っぷりがヤバい
1889年、福岡と博多があわせて誕生した福岡市。
学校の授業だとダイジェストで送られてしまう近代史もたっぷり充実しているのが、この博物館の素晴らしいところ。
福岡で行われてきたスティーヴィー・ワンダーやビリー・ジョエルのライブのチケットなど、どうしてそんなものまで揃ってるの?っていう物まで展示されていて驚きます。
後半の展示には、当時の人々の暮らしの様子がリアルに再現されまくっていて、魚を贈られて喜ぶ一家とか、福岡県の人々の暮らしの再現率がとにかく細かすぎてすごいです。笑
また、福岡を代表する夏祭りの博多祇園山笠の展示も充実。
「軍師官兵衛之勲」の舁き山(かきやま)は、博物館のために特別につくられたものなのだそうです。
ちなみに博多祇園山笠はこういうやつですね。(写真は櫛田神社)
黒田家名宝展示・3m超の大槍「日本号」
企画室では定期的に期間限定で、天下三名槍の1つでもある大身槍(おおみやり)名物「日本号」が展示されています。
福岡藩主・黒田家の家臣で酒豪の母里太兵衛(もりたへえ)が、福島正則に勧められた大盃のお酒を見事飲みほして手に入れた槍というエピソードがあり、「呑み取りの槍」とも呼ばれ、福岡県の民謡「黒田節」にもなっています。
刃の長さが1尺(30.3cm)を超えるものを大身槍と呼ぶのだそうですが、この日本号は刃長が79.2cm、総長321.5cmというとんでもない大きさで、そのスケール感に驚きしかありませんでした。
刃に描かれた、剣を吞み込もうとする龍「倶利伽羅文(くりからもん)」の彫り込みがカッコよく、
柄などには螺鈿(らでん)細工が施されてキラキラがすごいです。
蒔絵や螺鈿が施された漆器はヨーロッパで人気だったそうで、鎖国時代も長崎から多く輸出されたそうです。
長崎独特の「青貝細工」は、薄い貝の裏から色を塗ることでカラフルに表現できるのが特徴のようです。
ほかに国宝でもある南北朝時代の刀「圧切長谷部(へしきりはせべ)」などもあって、武将好きなどにはたまらないのではないでしょうか。
喫茶室でひとやすみ
50,000平方メートルの敷地に、常設展示だけでも2,121平方メートルの広さもある博物館、ひととおり見てまわるとなかなかに疲れてしまいます。
そんなときは福岡市博物館喫茶室でごはんを食べながらひとやすみ。
なんとお弁当持参もOKのようです。
体験学習室「みたいけんラボ」も充実していてオススメ!
体験学習室(みたいけんラボ)というアジア各地や九州のおもちゃ、民族衣装や民族楽器などを体験することができるコーナーもオススメです。
滅多に触れる機会のない楽器の数々に、子どもたちにまぎれて夢中になって「体験」を満喫してしまいました。