心も体も大切に。しえるです。
「Shrink シュリンク-精神科医ヨワイ-」という漫画をご存じでしょうか?
精神科医の弱井先生が患者さんの病状を治療していく物語で、私はまだ1巻しか読んでいないのですが、この時代に寄り添うたいへん良い漫画だと思いました。
1巻だけでもパニック障害、うつ病やADHDなど様々な病状を題材にしており、こういった症状があるんだという基礎知識を得たり、身近な人がかかってしまった場合にどう寄り添えばいいのかなどが丁寧に描かれています。
精神病に関する基礎知識と正しい理解を学べる漫画「Shrink シュリンク-精神科医ヨワイ-」【無知から生まれる恐怖や誤解】
あらすじ
パニック障害、うつ病、発達障害、PTSD…。
心に病を抱えながらも、誰にも相談できずに苦しんでいる潜在患者が数多くいると言われる、隠れ精神病大国・日本。その自殺率は先進国では最悪レベル。なぜそのような事態に陥ってしまっているのか…。精神科医・弱井幸之助が、日本の精神医療が抱える問題に向き合い、人々の心の影に光を照らす!
最新刊情報
「Shrink(シュリンク)」とは?
「Shrink(シュリンク)」は「収縮」という意味の英語で、日本でも、透明フィルムで覆う「シュリンク包装」などで耳にすることがあるかもしれません。
アメリカではスラングとして、精神科医のことを「シュリンク」と呼ぶそうで、妄想で大きくなった患者の脳を小さくシュリンクしてくれる仕事だからという説があるそうです。
「失恋した」「ペットが死んだ」「テストの点が悪かった」
精神科医はちょっと落ち込んだら予約を入れて会うような身近な存在である、と漫画では表現されています。
個人的には海外ドラマでよくPTSD(心的外傷後ストレス障害)などに悩まされる登場人物が、精神科に通院するのを拒否しているイメージはあるのですが、ここでは脱線してしまうので、ひとまず置いておきましょう。
原因不明の体調不良
不定愁訴(ふていしゅうそ)という臨床用語があります。
「頭が重い」
「めまい・ふらつき」
「食欲不振」
「不眠、疲労感が取れない」
「息が苦しい」
「手足などのしびれ」
こういった間違いなく感じている症状。
しかし病院に行っても「異常は見当たらない」とされ、原因が特定されない状態のことを指します。
私自身も急に息苦しくなったり、手がしびれて左半身動かなくなったりしたことがあり、自律神経などについて調べていた時期がありました。
周りにも「ずっと眠れないし、何を食べても砂の味しかしない」という人がいて「あ…」と思ったことがありますが、私にとっては近しい人でなかったため、何もできなかったこともありました。
これは心の強弱によるものではなく脳が発する危険信号で、体が無理していると教えてくれるサインなのだと説いています。
こういう時、本人や周りの身近な存在がどうするのかという選択は、とっても大事なことだと思います。
そして誰にも起こりえることだと思いますので、もしもの際に自分ができる中で少しでも良い選択をとるためには、症状や対応についての知識を頭の片隅にでも入れておくことが一助となるのではないでしょうか。
心療内科と精神科の違い
心療内科はストレスなどで身体に胃炎や下痢などの不調がある方の診療が専門、一方精神科は心の症状を診るための病院というのが違い。
精神科は行きづらいけど心療内科なら…と思う方が多いため、心療内科と提携したり、併記したりする精神科もあるそうです。
精神科にいるのは精神医療を専門に学んだ医師ですが、心療内科には様々な診療科出身の医師がいるので、一部には精神疾患に詳しくない医師がいることもあるようです。
どんな先生のいる病院なのか、事前に調べるのはとても大事ですね。
発達障害とは?
最近では「ASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群)」「ADHD(注意欠如・多動症)」といった言葉がとても耳慣れたものになっていますね。
「大人の発達障害」なんてワードも耳にしますが、大人になってから突然発症するものではなく、子供の頃はなんとかやり過ごしていた特性が、社会に出て、広がった生活範囲に対応しきれなくなったことで表面化するのだそうです。
本の中で発達障害について以下のように説明されていました。
人間の多くはさまざまな発達の特性を持って生まれてきます
特性の種類によって他人との関わりを持つことが苦手だったり
掃除が苦手だったり勉強が苦手だったりしますが
その程度は人によって違います
特性を持ちながら問題なく生活している人もいます
一方 大きな生きづらさを感じ社会生活を送る上で
特性が障害になっている人は「発達障害」と診断されます
たしかに同じことでも悩みと捉えている人とそうでない人に分かれますよね。
発達の特性は生まれ持ってのものでその後なくなることはありません
治療する・できるという「病」ではなく一緒に生きていく「個性」なんです
漫画の中で、患者さんを治していく凄腕の弱井先生は片づけられない男で、ゴミだらけの部屋で過ごしていました。
それでも日常生活は支障なく送れており、コミュニケーションもスムーズに取れていて困っていないから、自身は発達障害ではないということなのだそうです。
しょうがないなぁで許されてしまう人と、人をイライラさせてしまう人。
性格とか場の流れを読む能力とか周りの反応とか、いろんな要素が掛け合わさることによって左右されるのでしょう。
精神病は個性が蝕まれている状態?
この漫画を読んでいて、どの症状も本当の自分の個性をないがしろにした状態の時に起こっているなと感じました。
そして、無知から「症状に対する恐怖」や「誤解によるストレス」が生まれ、より状況を苦しくしているとも思いました。
精神病患者が多いけど自殺は少ない国
精神病患者は少ないけど自殺が多い国
どちらがいいのでしょう?と漫画内で問いかけがあります。
正解なんて出ないと思いますが、この本を読んだことで、別に精神病は悪いことではないと思う気持ちは強まりました。
体から発される危険信号のサインは、元の生活でどこか無理をしている状態であり、苦しいことの連続だと思います。
自分が無理せず過ごせる場所を見つけ、開拓していくことが、人生最大のテーマではないかと思う今日この頃です。
皆様もどうか、ご自愛専一にお過ごしくださいませ。
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